メリーゴーランド174

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「父よあなたの慈しみに感謝してこの食事をいただきます。ここに用意されたものを祝福し、私たちの心と身体を支える糧としてください私たちの主イエスキリストによって、アーメン」
 アスカが十字を切ると同時に関西軍団は腹が減り過ぎていてガツガツと食べ始めた。
「そういえば、アスカさんと京助さんって、ガキの頃からの知り合い?」
 ある程度空腹が落ち着くと、三田村が思い出したようにアスカに聞いた。
「こいつの祖父さんとうちの親父が大学の同期で、仲良しでさ、何かってえと、スカイラインかなんかのクラシックカー飛ばして将棋刺してて、その度こいつ連れてくるもんだから、俺らに面倒押し付けやがって」
 アスカより先に京助が言った。
「いつ誰があたしの面倒なんか見た? せいぜいカエルを私の顔に押し付けてくるから、カエルを取り上げて京助の顔にぶつけてやっただけよ!」
 それを聞いていた三田村が「うー、こわあああ」と笑いながら口にする。
「生類憐みの令により打ち首獄門決定やな、二人とも」
 海老のポワソンを口に運びながら、千雪が淡々と言った。
「やだ、何よ、別に死んだりしてなかったわよ」
 やや情けなさそうなアスカの声が小さくなる。
「いやですわ、アスカさんて女性のくせになんて残酷な方」
 これみよがしな言葉が日向野の口からはっきり聞こえた。
「はい、女性のくせにも差別用語やから、今時そんな言葉使うてると、周りから引かれること請け合いやな」
 すかさず千雪は日向野にチェックを入れた。
 即、日向野が千雪を睨み付けたが、千雪の方は日向野のことなど見てもいない。
「ほな、京助とアスカさんて幼馴染なんや」
「そんな可愛いもんじゃないわよ」
 京助のことになるとアスカはことごとく否定に走るようだ。
 案外。
 京助の相手いうのんは、案外アスカさんみたいのがええんちゃう?
 アスカさんもことごとくぶつかるのんも実は裏返しの感情とか?
 少なくとも、今まで京助の相手や言われた人らより、アスカさんの方がなんぼもましや。
 毒舌やけど表裏ない、はっきりした性格やし、正義の味方が好きやなんて、ええ子やん。
 日向野なんかより何倍もええわ。
 京助もまだわかってないんちゃうんか?
 千雪は何気にそんなことを考えていた。
「幼馴染は大切にせなあかんで」
 ふいに千雪の口をついて出たセリフ。
 途端、千雪の手が止まる。

 


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