「京助さんと、そもそもの馴れ初めって何やの?」
三田村が聞いたことがあった。
二人で酒飲んで寝てもうた時、京助が一線を越えよった。
千雪は言ったが、そのくらいしか思いつかない。
あとは成り行きで、ここまで来てしまった。
無論外野は関係ない。
だが時折、外野から、それでいいのか、という言葉を投げかけられているような気がする。
例えば、もしかしたら、小夜子と紫紀は今後、付き合っているうちに互いに好きになるかもしれない。
京助は好きだとたまに言うけれど、それってほんまのほんまなんか? とか思ってしまう。
前に俺の方から離れようとした時、京助は追いかけて来たけど、それってただの執着ちゃうのんか?
研二はもう俺を見ないて思うた時、怖うて、結局京助に頼ってもうた。
俺らの間に愛とか恋とかなんて、あれへんような気がする。
それでも時間は過ぎていくし、変わらないものはない。
外野は放っておこうと言っていた小夜子と紫紀のことが、スポーツ紙のゴシップ記事で取り沙汰され、ネット上でも広まったのはGWに突入した頃だった。
『超モテメン東洋グループ次期CEOとゴージャス美女、豪華カップル誕生! 老舗呉服問屋のご令嬢とバツイチ同士婚秒読みか!』
一般人であることから申し訳のような目隠しはしているが、何ごとかと思わせるような煽り文句とともに芸能人を凌駕するような美男美女が堂々と紙面を飾っていた。
財界関連の雑誌などには取り上げられていたものの、取り立てて目を引く事件も芸能人のゴシップもない時期だったということもあろうが、あの、綾小路京助の兄であることや、相手の小夜子があの、名探偵の従姉であることなどまでがついでに書かれていたこともあって、テレビのワイドショーまでもが面白がって取り上げた。
小夜子もまさかと思う事態になったために、父母への報告が後先になってしまったことを詫びた。
「お付き合いはしてるんだけど、まだお互いどうしようまでは考えていないのよ」
だが当人たちの思いをよそに、会社や店にも得意先から先走って結婚を祝う電話が鳴り響き、東洋グループという大企業の次期CEOということで、株の値動きにまで多少の影響を及ぼした。
「結婚してみますか」
紫紀のあっさりとした、しかも電話でのそんな誘い方に、小夜子が、そうね、と答え、またしても「ご婚約」の記事が出たのはそれから間もなくのことだった。
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