「くっそ、無視したる」
学食とは逆に踵を返した千雪の背後から、すごい勢いで走ってくる足音が聞こえた。
「ちょうど、京助先輩が席取っといてくれてるみたいやから、その前に、俺、先輩に話があって」
ぐい、と肩を掴んで振り向かされた千雪は、途端不快指数が急上昇する。
「断る」
「え、何ですの、まだ、何も言うてないのに。実は、俺の……」
「お前の話なんか、ちょっと推理すればわかる。とにかく答えはノーや。それに俺は今日は学食へは……」
行かないと口にする前に佐久間は千雪の両肩を掴んで、顔を覗き込む。
「それはないですやろ。とにかく、昼は俺、おごりますよって、話だけでも聞いたって下さいよ」
「話を聞いてへんのはお前やろ!」
そんな千雪の話をやはり全く聞いていない佐久間は、「まあま、まずは腹ごしらえが先や」と千雪の腕をガッシと掴んだまま勝手に学食へと向かう。
「そういえば、知ってはります? 京助先輩の今度の相手、超美人っつうか、ゼッセーの美女っつうか、けど、超クールな感じで……」
「うるさいわ! 知るか!」
ただでさえ口を開けばうるさいのに、超、超などというキーワードが千雪の神経を逆撫でする。
「先輩も知らへんの? 先輩にも内緒にしたはるいうのんはあの超美人何者なんやろ」
「ったく、無神経の極みめ!」
「へ、何か言わはりました?」
「何で、こうも無神経かつ厚かましいヤツばっかなんや!」
とりあえず、この男だけには絶対、素顔なんか見せない方がいいと再認識した千雪だった。
おわり
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