「おい、だからそんな恰好で寝るな」
いきなり首に引っ掛けていたタオルで頭をガシガシやられた千雪は目を覚ました。
ぼんやりしているうちに寝てしまったらしい。
「ほんまにお前の兄貴、クエナイやつや」
千雪はボソリと言った。
「だからそうだってっだろ? 兄貴のやつ、何だって?」
京助はまだ乾いていない千雪の頭をごしごしやりながら聞いた。
「原の伯父さんが俺らのことで、京助やお前の両親問い詰めるつもりらしいとか言わはって」
「はあ?!」
「やから俺が何か説明すればええとか何とか」
「フン、最初から食事会来させる魂胆なんだよ」
「うんて言わされたわ」
クッソ、と千雪は付け加える。
まんまと紫紀の口車に乗せられた気がする。
速水のように嫌味三昧の相手ならいくらでも撃沈させてやるのだが、紫紀には柔らかい口調で言いくるめられてしまうのが悔しい。
京助は鼻で笑い、千雪の頭にドライヤーを充てる。
千雪の髪が渇くと、京助は自分の頭をドライヤーで乾かし、冷蔵庫からビールを取り出して飲みながら千雪の隣に腰を降ろす。
「で? 伯父さんに何て言うんだ?」
まともに聞かれて千雪は言葉に詰まる。
「付き合うとる言うしかないやろ」
「フン、何だよそれは。俺たち、小夜ねえらよりずっと前から恋人でーす、とか言うんじゃないのかよ」
京助が茶化す。
「おかあさんの間違いやろ」
すると京助は千雪の顎に手をかけてキスする。
「おかあさんはこんなことしたらあかん」
「おかあさんだって何の見返りもなしに千雪ちゃんのお世話してるんじゃないと思うぜ」
低く笑いながら、京助は千雪の唇を啄んだ。
千雪のバスローブをはだけ首筋から胸へ、下肢へと京助の愛撫はエスカレートする。
「疲れとるんやないのんか」
千雪は軽く京助の頭を押し戻す。
お構いなく千雪を嬲り続ける京助の指が中心に絡まると与えられる刺激に正直に身体が反応し始める。
「や……」
次第に熱くなる吐息が京助の耳にかかった途端、京助は千雪を担ぎ上げた。
「うわ……」
「燃えてきた」
京助はそのままベッドルームへと階段を上がる。
「アホ、燃えんでええ! 降ろせ」
千雪は口では抗議するものの力が入らない。
「あんなとこじゃ狭すぎんだよ」
千雪をベッドに放り出すと京助はバスローブを脱ぎ捨てるのももどかし気にのしかかる。
「第一、これは俺のベッドや」
ムスっとした顔をしながらも結局のところ京助のキスに応えているのだから、千雪も何をかいわんやなのだが。
「今更だろ」
ほんの少し、千雪がちゃんと自分を見るようになった、京助はそんなことを思い胸を熱くする。
全てではないのが面白くないといえばそうだが、それでもボストンで暮らした二年の間に、千雪の中のわずかながらの変化に京助は気づいていた。
日本に戻って割とすぐに研二と会ったことで、元の木阿弥になるのを恐れていたのも事実だ。
だから千雪がこうやって腕の中にいることを、京助は千雪を抱いて確かめるしかない。
濡れた眼差しで京助の背中に腕を回してくる千雪と身体を繋ぐと、口づけはさらに深くなった。
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