「やつらって?」
アスカが聞いた。
「ああ、こないだ捕まえたやつら」
「捕まえた? ユキが?」
アスカが妙に突っ込んでくる。
「やから、情報提供して、警察が捕まえよったやつらのことや」
千雪の適当な説明にちょっと怪訝そうな顔をしたが、「とにかく、工藤さんも工藤さんよ! 何、あの態度! ひどすぎない? 良太だって、ジャックのやつに騙されただけなのに!」とまたアスカは良太の話に戻る。
「ほんまや。まあ、今更か。怒鳴り散らしてこその工藤さんやからな」
それにしても、今にもジャックを殴り倒しそうな勢いだったのに、良太の言い訳くらい聞いたってもええんやないのか?
何やらわだかまりの残るパリ行きとなった一行だが、良太と秋山、井上、アスカ、それに千雪は先の便で、工藤は遅れて別便で日本へと向かった。
しかも、席が離れていたにしても、良太が千雪を避けるように視線を外すのがどうも気のせいではないようで、千雪は首を傾げた。
やっぱ、なんぞ、俺、やってもうた?
大概、きっついしなあ、俺って。
多少反省しなくもない千雪だったが、迎えに来ていた京助の車で帰ったので、青山プロダクション一行とはそこで別れた。
「やっぱ、なんぞきっついこと言うてもうたんやろか」
ナビシートでボソリと口にした千雪を、京助はせせら笑う。
「何をいまさら」
フン、っと京助を睨みつけながらも、未だ腑に落ちない千雪だった。
「先に風呂入ってこい。寿司、出前取ったから」
湯を張って出てきた京助に言われ、千雪は「えろ、気前ええやん」と、風呂に向かった。
にしても、なんややっぱ、気になるな…。工藤さん。
何かあったんやろか。
いつのまにウトウトしたのか、湯の中に沈みそうになって、慌てて湯から上がる。
バスローブを着てリビングに行くと、京助は難しい顔でノートパソコンの画面に向かってキーを叩いている。
「湯入れてるで」
「おう」
カラスの行水の京助はたったか上がってくると、冷酒とグラスを用意して、また眠りそうになっていた千雪を呼んだ。
「やっぱ、日本食は美味いわ」
パクパクと口に運びながら、千雪は言った。
「ニューヨークの寿司とはかけ離れた寿司なるもんも、あれはあれでおもろかったけどな」
「あれを美味いという連中の気が知れん」
京助も思い出したのかスパッと言い切った。
「マギーも日本に来て、ほんまの和食食べたら、向こうの日本食もどきは食われへん言うてはったもんな」
千雪は笑った。
「フン、ケーキも菓子も大味でバカ甘いからな」
言いながら京助は冷酒をグイっと飲み干した。
「ほんまに、日本のケーキの何十倍も甘いで。味覚どないなってんね」
「あと、ガキの頃、知り合いんちのパーティで食わせられたバタークリーム! あれはマジうげってやつ」
京助のセリフに、「聞いただけでおそろしわ」と千雪は首を横に振る。
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