「あの絵、女の子にえらく人気があったんですよ」
うんうん、と藤堂は悠の絵を気に入ってもらえたことがとにかく嬉しい。
「藤堂さん、料理きてるんだけど、あの食器棚の中の皿、みんな使っていいのか?」
悠がやってきて、聞いた。
「どれでも使っていいよ」
「わかった」
いいながら、悠は怪訝そうに小林を見た。
「あ、そうだ、悠ちゃん、こちらは小林さん。この方の従姉さんが、君の薔薇の絵を買ってくださったそうだ」
「…へえ……」
悠は無愛想に返事をする。
「確か、あの個展の作者の、五十嵐悠、さん?」
小林の問いかけに悠は返事もせず、ぷいと中に入ってしまった。
「今、ここで一緒に暮らしてるんですよ。中にも彼の絵がたくさんありますから、ゆっくりご覧になったらいかがですか?」
「あ、ええ」
小林はマフラーだけ手に持って、藤堂に続く。
「今日は彼の友人のアーティストたちがきて飾りつけをやってくれたんですよ。わくわくするなー」
リビングに入るとすぐ、天井に届かんばかりの大きなもみの木が、色とりどりの電飾やクリスマス飾りで燦然と輝いている。
その天辺では銀製の大きな星が見下ろしている。
壁、窓、床、リビング全体が蝋燭やテディベアやサンタクロースや、犬やらネコやらを形作った置物やらのクリスマスアイテムや小物類を使い、ちょっといたずらっぽく楽しげな空間にと変貌していた。
「おお、ワンダフルなクリスマスだ!」
藤堂が芝居がかった台詞で両腕を大きく開いた。
「じゃーーん、これ、私が作ったリースでーす」
悦子が直径三十センチほどのきれいなリースを差し出した。
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