みんなはっぴぃ 3

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 ゲラゲラ笑い声が聞こえるから、よもや、とは思っていたが、悠が同じ東京美大の飯倉クラスに席を置く高津と二人、楽しげにツリーの飾り付けをしている場に出くわし、藤堂は戸惑いがちに、よしよし、とアイちゃんの頭を撫でる。
「やあ、いらっしゃい! ちょっと忘れ物をしてね。あ、これ、差し入れ」
 本当は悠と二人で食べるつもりだったのだが。
「わお! 腹ペコで、どうしようって言ってたとこ。あ、『錦や』の仕出し弁当だ!」
 喜んで藤堂から弁当の入った袋を受け取る悠を見ると、藤堂の顔も思わずほころぶ。
 以前、悠を連れて店に行った時、悠は祖父母が店をやっていたことを話して女将さんにすっかり気に入られ、それからちょくちょく二人で顔を出しているのだ。
「ここの女将さん、なんかうちのばあちゃんに似ててさ。歳とかはてんで違うんだけど。魚の煮つけとかうまいんだぜー」
 得意げに高津に話す悠も可愛い、などと藤堂は思ってしまう。
「あとで悦子もくるっていうし、準備は俺ら、きっちりやりますから!」
 髭面の高津もついでに威勢よくのたまう。
「おお、あの美人もきてくれるのか? それは鬼にカナボーってとこ? アーティストの競演かぁ。期待しているよ」
 とりあえず高津の台詞にのってみせ、藤堂は内心ため息をつきつつ、忘れ物をしたと言った手前、自分の部屋である寝室に入っていった。
 この時期に新居を購入するつもりはさらさらなかった藤堂だが、つい二ヵ月ほど前、気に入っていた前のマンションが火事になり、新しい部屋を探さざるを得なくなってしまった。
 藤堂の部屋が燃えたわけではないが、水浸しの上異様な臭いが染みつき、家具や衣類も使えたものではなかったのだ。
 しばらく河崎のマンションに居候してスーツなども拝借していた藤堂だが、藤堂が住もうが部屋はあるものの、河崎の同居人への配慮から世田谷にとりあえずの住まいを見つけてしばらくそこに住んでいた。

 


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