そんな時、ちょうどペットOKの豪華マンションがオフィスの近所に新築中だったのを思い出し、藤堂は冷やかし気分で見学に行ってみた。
もはやどの部屋も埋まっているだろうと思っていたのだが、なんとペントハウスが空いているという。
外国人向けのその部屋は、入居するはずだったフランス人の中年夫婦が、夫のパリ転勤でキャンセルしたらしい。
十階建ての十階フロアを占める四LDKと広いルーフバルコニー。
三十畳はあるリビングはルーフテラスへと続き、贅沢な夜景も楽しめる。
パーティのために、悠は画材を自分の部屋に移動させたが、リビングはあっという間に悠のアトリエと化し、アイちゃんの一番気に入った一角には彼のベッドが置いてある。
玄関には悠が描いた二十号のアイちゃんが飾られ、リビングの壁には藤堂とアイちゃんを描いた絵が飾られていた。
二十畳ほどのメインベッドルームには段差で区切られた書斎空間がある。
ほかに二つある十畳のベッドルームの一つが悠の部屋だ。
さらに八畳ほどの部屋があり、これは書斎に入りきらない藤堂の蔵書がぎっしり詰まった書庫となっていた。
それぞれウォークインクローゼットがついているし、またどの部屋からもルーフバルコニーに出られる。
バスルームも二つあり、大きめの一つは夜景を楽しみながらバスタイムを満喫できるという代物だ。
一目でこのマンションが気に入った藤堂は、すぐに手付けを打ち、短期間で材質など細かくチェックを入れ、関係会社も調査して納得いくと、即金で買ってしまった。
何より、悠やアイちゃんが気に入っている明るいサンルームが、藤堂にとっても第一条件だった。
「料理はパーティの始まる1時間ほど前に届くから、それはその大テーブルの方に置いといてもらっていいからね。それじゃ、よろしく頼むね」
「わかりました。まかせといてください!」
調子よい台詞を吐く髭面に、にっこり笑い、またお見送りにやってきたアイちゃんを撫でてから、藤堂は部屋を出る。
悠がこちらを見ようともせずむっつりしていたのがちょっと気になったのだが。
「今日の弁当が気に食わなかったのかな?」
首を傾げつつも仕方なく藤堂は会社に向った。
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