みんなはっぴぃ 37

back  next  top  Novels


 
     ACT 10
 

 エレヴェーターを降りると、エントランスの外に黒のフェラーリが停まっていた。
「どうぞ」
 リアシートに自分が乗ろうとした小林を「あ、俺後ろでいいです」と良太が先にリアシートに乗り込んだ。
「後ろ、狭いで?」
「いえいえ全然平気です、よろしくお願いします」
 良太はなるべく運転席の京助と目を合わせないように笑う。
 まあ、二人ならカッコいい車かもだけど、実用性ゼロじゃん。
 まだ工藤の車のがましだって。
 もちろん心の声を京助に届けて睨まれるような真似はしない。
「こっちが死体やら内臓やらと格闘してる時に、楽しそうなこって」
 小林が助手席に乗り込むなり、車を発車させた京助は皮肉りながら、ハンドルを切る。
「そら、可哀相にな。来年は仲間に入れてもろたらええやん」
「するか、んなもん。大体その藤堂ってな、何者だ?」
「青山プロダクションの仕事関係らしい。プラグインいう広告代理店の人やねんけど」
「らしい、って、よく知りもしねーで、行ったのか?」
「良太とかアスカさんもいてたし」
「アスカだと? 性懲りもなくお前をつけまわしやがって」

 


back  next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
にほんブログ村