みんなはっぴぃ 38

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「アホいいな。あんなとこで会うとは思わんかったわ」
 後ろで二人の会話を聞いていた良太は、呆れて運転席の京助をはすかいに見る。
 こいつ、すんげーヤキモチ焼き。
 まあ、相手が小林では無理もないとは思うのだが。
「けどほんま気前よう、プレゼント配ってはるなぁ」
「なんか、子供の頃から、お母さんと一緒に施設とか回ってたみたいで、それが楽しかったって。藤堂さんのおかあさんって、熱心なクリスチャンらしくて、実家はいつもあんな感じだそうですよ」
 後ろから良太が小林に答える。
「フーン、良太は何もろたん?」
「俺、あのジルってフランス人からカード入れとキーケースで、藤堂さんにはスニーカーもらいました。ナイキの。俺、前にスニーカーもボロになったなんて言ったから。藤堂さん、それぞれに合わせて配ってるみたいですよ」
「サンタになりてーんだな、その藤堂って」
 京助が茶々を入れる。
「藤堂さん、いい人ですよ。ちょっと見、なに考えてるかわからなくて胡散臭そうだけど」
「そうやなー、ええ人や思うけど、ええ人ってだけで、学生居候させたり、絵、買うたりせえへんよなー。あのリビングの大きい絵、藤堂さん買うたんやろ? まあ確かに、絵はその辺の大画家のよりかなり良かったけどな」
「はあ、そう、ですね」
 藤堂に悠とどういう関係なのかについては、良太には面と向って聞くことはできなかった。
 将来有望なアーティストに手を差し伸べるために一緒にいるのだろうか。
 そういうのでもないような気がするなぁ。
 良太はひとり、思案にくれた。

 


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