ACT 11
静けさを取り戻したリビングでは、クリスマスのアイテムたちだけが楽しげに輝いていた。
人の波が一気に引いてしまうと、妙な寂寥感が残る。
大テーブルもきれいに片付き、何事もなかったかのようだ。
食器類も棚にきちんと並べられている。
食器類やキッチン用具は、前の部屋からも何とか持ってこられたし、今夜は充分それが役に立った。
藤堂はソファに腰をおろし、悠とアイちゃんの帰りを待っていた。
「もし、悠ちゃんがここから出て行ったら、かなり寂しいだろうな」
今までにつきあった相手の中にも、藤堂のとっぴな発想についていけないというコもいた。
確かに、藤堂は常人とは違うところもあることはあるのだが。
「達也に比べたら、俺なんかてんで普通だ」
河崎と比べても何にもならない、ということは、この際考えてはいない。
振られたことは数知れずだが、一緒に暮らした相手は今までかつてない。
「悠ちゃんはもうここにいるのがいやなのかな」
悠には新しい絵の具や筆をたくさんプレゼントした。
悠が一番喜ぶと思ったからだ。
ただ、例えどんなに喜んでくれたとしても、物では人の心は動かせない。
「無理強いしても意味はない」
そう、去る者は追わず、今までの藤堂はあっさりとしたものだ。
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