みんなはっぴぃ 41

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「もし、悠ちゃんがここにいるのがいやなら、そう言っていいんだよ。俺は君を無理に連れてきたんじゃないかと、そのことは気になっていたんだ」
 カップを持つ悠の手が止まる。
「だから、もし、一人で暮らしたいのなら、敷金とか礼金とかは心配しなくていい、用意するから。それはいつ返してくれても構わないから、だから……」
 ガチャン、とカップを乱暴にテーブルに置くと、悠はすくっと立ち上がった。
「わかったよ! 明日にでも出て行くさ! 別にあんたにこれ以上面倒見てもらおうなんてこれっぽっちも思ってねーから、心配すんな」
「悠……」
「まわりくどい言い方、すんなよ! 俺に出てって欲しきゃ、はっきりそう言やあいいだろ?!」
 思い切り喚いたと思うと、ぼろぼろぼろぼろ……と悠の目から涙が零れ落ちる。
 リュック一つで出て行ける、そんなことを思っていた。
 いざとなったら。
 だけど…………。
 悠はそのまま藤堂に背を向け、自分の部屋に向おうとした。
 藤堂は慌てて悠に追いすがり、その腕を掴む。
「待て待て待て! 悠ちゃん、何でそんなことになっているんだ? 俺は君に出て行ってほしいなんてそれこそ思ったことはないぞ」
「うっそつけ! さっきつれてきたあの小林って超美形を何とかしようと思ってるんだろ! こちとら、すりっときりっとまるっとお見通しなんだよっ」
 目を涙でいっぱいにしたまま、悠は言い切った。
「悠ちゃん……それは大きな誤解だ」
 藤堂は柔らかく微笑んだ。

 


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