「うっせー、高津」
悠はそんな高津を横目で睨む。
「フン、ハル、これだけは言っとく。藤堂はさ、お前のこと苦学生と思って、今はボランティアで面倒見てくれてるのかもしれないぞ。足長おじさんが誰とでもくっつくとは限らないんだ。ライラックの社長の息子だったっけ? チョコレートのライラックっていや、幼稚園のガキからバーさんまで、二月のバレンタインにはライラックのチョコをめがけて走るってな名門だあな。こんなマンションどーんと買えるような世界の人間なんだ。そうゆうとこの人間なんか、そのうち、ホレ、政略結婚とか、しなきゃなんねーんじゃねー?」
高津に一気に捲し立てられ、悠はうっと言葉に詰まる。
藤堂は三十四だ。
当然、そういう話があってもおかしくはない。
「俺だって、面倒みてもらってるばっかじゃねーよ! バイトもやってるし」
藤堂はバイトなんかやらなくてもいいと言うのだが、悠にしてみればそんなヒモのように暮らすことはもちろんできないわけで。
体力に見合わないガテンバイトはやめてコンビニだけにしているが、今度は宅配便のバイトでもしようと思っている。
ただし、学生のうちはそれで勘弁してもらうとしても、卒業したあとのこともまだ決まっていない。
就職活動なんてまったくしていないし、会社組織に入って仕事をするようなタイプではないことは自分がよくわかっている。
教職も取ってみた。
学生とは結構うまくやったつもりだが、どうも教員たちの評価はイマイチだったようだ。
かといって、今更大学に残るというわけにもいかないだろう。
第一飯倉とはやはり一緒にやっていけそうにない。
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