ACT 3
オフィスへの階段を上りかけて、藤堂は近くのうまいパン屋が賑わっているのを目にした。
「コースケちゃんも食べるかな」
藤堂はパン屋でサンドイッチやらピロシキやら甘いのやらをいくつか買うと、いそいそとオフィスのドアを開いた。
「わー! 今、メシどーしよーって思ってたとこなんですぅーー! コーヒーいれますねー」
童顔の後輩は、相変わらず素直で可愛い反応を返してくれる。
プラグインは、元大手広告代理店英報堂のトップAEだった河崎と藤堂が独立、出資して興した会社である。
代表取締役の河崎、同じく取締役の藤堂、それにデザイナーの西口浩輔、そして営業の三浦章太郎の四人からなる小規模広告代理店だ。
浩輔は、大手広告代理店英報堂に勤務していた頃は河崎の部下であり、紆余曲折あったものの、やがてデザイナーとしての仕事を選び、今はめでたく河崎の大切な同居人となっている。
出だしはさすがにそう簡単に仕事が回るわけもなく厳しいものだったが、二年目となった今は年商百億に届こうというところまできている。
三浦は浩輔の後に河崎の部下として藤堂がヘッドハンティングしたできる男だ。
表参道の大通りに面して建つこ洒落た四階建てのビル。
銀色の外壁は少し湾曲し、螺旋階段を上がった二階がプラグインのオフィスになっている。
一階は駐車場で、三台分のスペースがある。
ビルのオーナーは河崎で、三、四階は河崎が姉の美保子にギャラリーとして貸している。
会社の経理、プロデュース、マネージメントその他を切りまわす、会社にとっては重要なマーケッターでもある藤堂は、お嬢様育ちの社長である美保子をサポートするべく、ギャラリー銀河の役員にも名前を連ねている。
悠と藤堂の出会いは、この銀河だ。
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