サンタもたまには恋をする 11

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 武蔵野は吉祥寺に広いキャンパスを持つ、東京美術大学。
 校舎を取り囲む木々の間をぬって冷たい風が吹き抜ける頃になると、学生たちもついこの間まで太陽にさらしていた肌を、色とりどりの温かそうなセーターやジャケットで包んでいる。
 そんな中、長袖とはいえぺらぺらな薄さのシャツ一枚の学生が風を切ってキャンパスを闊歩していた。
 肌が白いため健康的とは言い難く、周りの目にも寒々しく映る。
「おい、ハル! 悠ってばよ!」
 バシッと肩を叩かれ、悠は前につんのめりそうになった。
「ってーなー、高津。腹に響くからやめろ」
「まあた食ってないのかよー、いい加減倒れんぞ」
 ひょろっと背の高い高津は、並んで歩きながら悠を見下ろした。
「昨日、絵の具仕入れたから、金ないの」
「しゃあねーなー、ほれ、カレーパンやるよ」
 高津は自分のバッグからコンビニで仕入れてきたばかりのカレーパンを取り出した。
 それを受け取った悠は袋を破いて、カプッと早速カレーパンに噛りつく。
「ハルちゃんボックス、昨日も満杯だったぞ、ポテチやらカップ麺やら」
 歩きながらペロリとパンを平らげ、袋を丸めてゴミ箱に放り投げる。
「おっしゃ!」
 食料があると聞いて悠は気合を入れた。
 悠も高津も、現在この大学の芸術学部洋画科に席を置く四年生である。
 悠と一浪の高津とは入学当初から何となくうまが合い、今日に至っている。
「お前、そろそろ飯倉に侘びいれた方がいいんじゃねー? 卒制、単位もらえなくなるぞ」


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