サンタもたまには恋をする 12

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「バカ言え! 誰があんなクソやろうに頭下げるかよ。こっちは着々と準備万端整いつつあるんだ」
 真顔で忠告する高津に悠は断言した。
「青山のギャラリーで個展やる。十二月に」
「おい、本気で飯倉に挑戦する気かよ?」
「本気も本気、卒制なんかクソ喰らえ!」
 にしても腹立つ。あのおっさん、顔を洗って出直せ、だとか言いやがって!
 悠はギャラリーで妙な再会をした男の、人をくったような顔を思い出してまた舌打ちする。
 だが、男の言ったことは至極もっともで、言い返す余地もないのがまた悔しいのだ。
「今日あたり、飯倉、くるんじゃねー? とにかくお前、飯倉にたてついたら、卒業どころか、画壇から締め出しくらうかしれないぞ」
「画壇も何も、俺には関係ねーもん」
 悠はしれっと言ってのける。
「ねーもん、ってなあ、お前……」
「生涯画家やってく、とか、人を感動させる傑作を描く、とか、お前みたいな情熱持ってねぇし。絵なんか飯倉をぎゃふんといわせるために描いてるだけさ」
「お前、そりゃちょっと寂しくね?」
 いっそさばさばと口にする悠に、高津は眉を顰める。
「どうせ天涯孤独だし。ガテンでその日暮らししようが、どっかで野垂れ死にしようが、俺の勝手だ」
 高津は飄々と前を行く悠の細い背中を心配そうに見つめながら絵画棟のドアをくぐった。
 学生は三年になるとそれぞれ希望する教授につくことになっている。

 


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