サンタもたまには恋をする 13

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 洋画科では八十名が四人の教授に割り当てられ、教授の人気や実力で多少人数の差はあるが、ほぼ二十名ずつに別れることになる。
 飯倉正巳は五十代の実力派で、創美会という団体に属し、会員として揺るぎない地位を築いている。
 その作風からもわかるように、かなりあくの強い性格なので、酷評する者もいるが学生たちの人気も高い。
 悠自身、飯倉の作品に傾倒してこの大学を選び、三年になる時も飯倉のクラスを希望した一人だ。
 だがある時、飯倉に個人的に絵の批評を頼んだ学生に金がないと知るや金を作ってから来いとにべもなく追い返しているところに出くわした。
「先生、学生から金ふんだくって、恥ずかしくないのかよ! ちょっとくらいみてやったって、バチあたらねえだろ!」
 正義感は人一倍強い悠がキレるのも時間の問題だった。
「課外だからね、正当な報酬をもらっているだけだ。きれいごとを言っていても絵の具は買えないし、食ってもいけないんだよ」
 貧しい家に生まれたらしい飯倉の、それが信条だという。
 彼の気に入った学生はとことん後押しするが、気に入られないと単位さえ危うくなる。
 悠も初めのうちは飯倉に目をかけられていた。
 もっとも、高校時代からあちこちで賞をもらい、何年に一人の逸材とまで言われたことのある悠は、他の教授にも大いに注目されていたのだが。
 飯倉の本性を知ると、悠は日ごとに飯倉を嫌うようになっていった。
 飯倉から今度作品を持ってくるように、と言われたのは四年になってすぐのことだ。
「残念ですが、先生に差し上げられるような金は持ち合わせていないので、辞退します」
 クラス中が一瞬凍りついた。

 


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