サンタもたまには恋をする 22

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 マミに振られた傷心を忘れさせてくれる、五十嵐悠という興味をそそる存在が現れた藤堂に、またしても災難が降りかかったのは、あちこちで目や口をポッカリあけたカボチャが今にも語り掛けてきそうな夜のことだった。
「浩輔ちゃん、こんな真夜中まで?」
「もう十二時かぁ。よし、この辺にしとくかな」
 オフィスに戻ると、ゼニアのスーツをさりげなく着こなす男は、少々疲れた様子でソファに腰を降ろした。
「今まで北国乳業の撮影ですか?」
「ああ、北国乳業の石頭どももあれなら文句言う余地はないさ。忘れないうちに請求書もまとめとかないと」
 クライアントからもやっとGOサインをもらってほっとしたところだ。
「達也は東京自動車の打ち合わせ?」
 ソファに深々と腰を降ろすと、藤堂はネクタイを緩めた。
「ええ、なんか最初からイメージキャラの長谷川美香に手を焼いてるみたいですよ」
「美香ねぇ、ご愁傷様だね、達也のヤツ」
 我侭女優と評判のその名前を聞いて、過去に経験のある藤堂はうんうんと頷いた。
「あ、そだ、この時間帯のスポットで、こないだやったネコ缶のCMやってたっけ」
 パソコンの電源を落とした浩輔が、最近会社で壁にドーンと取り付けた大型の液晶テレビをつける。
「ああ、浩輔ちゃんがプランニングからやったやつね」
「撮影は大変でしたけどねぇ」
「割と評判いいみたいじゃん。ニャンコもいい味出してるよ」
 藤堂も何の気なしにテレビに目を向ける。
『昨夜午後十一時三十分頃、渋谷区代官山で火事があり………』
 楽しげなCMのあと午前零時からの短いニュースが始まった。

 


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