その部屋に居候している浩輔の住居でもある。
隣の住人が犬の鳴き声に気がついて、逃げる際に管理人に連絡してくれたお陰で、アイちゃんは助け出されて無事だったのだ。
万が一と思うと、藤堂は未だに空恐ろしくなる。
「やっと部屋を見つけてきたんだ。古いアパートの一階なんだが、陽当たりのいいサンルームとかちょっとした庭もあってね」
「そうか、アイちゃんとこれでお別れかと思うと寂しいな」
浩輔がボソリと口にする。
「服も達也のがあるし、とりあえず今の部屋でのんびりやるさ」
藤堂の部屋が燃えたわけではないが、ほとんどの衣類は水浸しになり、使い物にならない。
買いに行く暇もなかった藤堂は、河崎にスーツやコートを拝借していた。
火事のとばっちりであれやこれやと雑事に追われ、さらにずっと仕事が詰まっていたが、何かにつけ悠のことが気になっていた。
悠の挑戦的な黒い眼差しを思い浮かべながら藤堂はポケットから携帯を取り出した。
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