サンタもたまには恋をする 26

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「は? 藤堂? ああ、ギャラリーの。今さっき、悠のやつバイト行っちまって」
 案内状の初校が出たことにかこつけて、悠のようすが知りたいと、藤堂は高津に連絡を入れてみたのだが。
「アパートを借りる予定? 今んとこ、無理ですね。滞納してた授業料払うのに借金したみたいで。それにあいつバイト代、ほとんど画材とかにつぎ込んでるから」
 高津から悠のバイト先を聞いた藤堂は、電話を切ってから、うーんと唸る。
 悠が祖父母を亡くして天涯孤独の身であることや、家賃を溜めてアパートを追い出され、今は高津の部屋に転がり込んでいることなどもついでに聞き出したのである。
「ちょっと出てくる。何かあったら携帯に頼む」
 このところの藤堂は、いつにもましてテンションが高くアクティブだ。
「新しい恋人でも、できたのかな?」
 浩輔はオフィスを出る藤堂の背中を見ながら呟いた。
「原宿駅近くの工事現場って言ってたな」
 夜の街を藤堂はゆっくり車を走らせた。
 場所は近いが、何やら嫌な予感がする。
 今夜は十二月中旬の冷え込みだという予報どおり、急激に気温が下がったようだ。
「いや、ちょっと無理してるんで、心配なんっすよね。あいつ、薄着で飛び回ってるし」
 高津の言葉からも悠のことが気がかりなのが伝わってきた。
「ったく、あの坊やはしょうがないな」
 それらしい現場の近くで車を停め、悠を探すと、いくつものライトに照らされて、見覚えのある黄色いバンダナの頭が頑強そうな男たちの中に混じっていた。
 車を降りて近寄ろうとした藤堂の目の前で、悠のからだがゆらりと揺れた。
 

 


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