サンタもたまには恋をする 28

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「熱なんかない!」
 思わずその手を払いのけ、悠は強がって見せる。
「まあ、それだけばくばく食えれば大丈夫かな。高津くんの家ももわからないし、うちに連れてくるのが手っ取り早くてね」
「なんでそんな余計なことすんだよ! バイトクビになったらどうしてくれんだよ!」
 思いがけない事態に悠は礼を言うどころか、藤堂にくってかかる。
 悠の上気した頬が紅く染まり、Tシャツからのぞく肌の白さとあいまって妙になまめかしい。
 ガテンバイトにはあんまり似合わないじゃないか。
「とにかくバイトは当分禁止だ」
「あんたにそんなこと命令される覚えはない!」
「個展が終わるまでは言うとおりにしてもらう。まだわかっていないようだが企画となった段階でもうビジネスプロジェクトだ。バイトしながら片手間に描いたものなんか持ってこられても、こちらとしては納得できかねる」
 サラリと言われ、悠はムッとした顔でベッドを降りると、足元に置いてあるリュックの上のジーンズに手を伸ばす。
「そんな熱のあるような身体でどこへ行く気だ?」
 藤堂は予想のつかない悠の行動にあたふたする。
「あんたが言ったんだろ、描けって。大学行って描くんだ」
 リュックを掴んで、スニーカーをひっかけ、出て行こうとする悠の腕を藤堂は引き戻す。
「そんなんで身体でも壊したらもともこもないんだよ」
「これしきで俺がくたばってたまるか」
 悠は藤堂の腕を振り切ろうと暴れた。

 


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