サンタもたまには恋をする 29

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「熱を出して倒れたのは誰だ。ベッドに戻れ」
 最後には腕ずくで悠をベッドに押し戻した。
「わ……何すんだよ!」
「聞き分けのないことばかり言ってると、ここで襲っちゃうぞ、悠ちゃん」
 上から押さえつけられ、藤堂の目の怪し気な光を見て、悠は咄嗟に身を竦ませる。
「バ……気色ワルいことぬかすな、この変態オヤジ!」
「おや、いっちょ前に焦ったりして。残念ながら、狼も太ったコヤギじゃないと食指もわかないんだよ、悠ちゃん。期待させて悪いが」
 フフンと藤堂は不敵な笑みを浮かべる。
「だーれが期待したよ! 悠ちゃんて言うな!」
 悠の頬がかあっと頬を真っ赤に染まった。
「今夜はしっかり寝て、大学に行くのは明日にしなさい。それからこの寒空にそんな涼しげな格好で出歩くもんじゃない」
 藤堂はハンガーにかかっている黒い革のジャケットを取って悠に差し出した。
「これなら、若い君でも着られるだろう。あげるよ」
「んなもん、もらういわれは……」
「どうせ俺ももらいもんだ」
 河崎のワードローブから適当に持ってきたものだ。
 そろそろコートくらい買った方がいいだろうとは思っているが、その暇がない。
「……わかったよ」
 観念したように悠は頷いた。

 


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