サンタもたまには恋をする 30

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「素直でよろしい。子守唄でも歌ってやろうか?」
「いるか!」
 毛布を被ってしまった悠を見て藤堂は笑う。
 と、藤堂のポケットで携帯が鳴った。
「何だ、達也」
『長谷川美香がお前をお名指しなんだよ。あの女、勝手なことばっか言いやがって。ボヌールって六本木のクラブ。すぐ行けよ』
「…おい…」
 呼びかけようとした時には既に切れていた。
「全く、人使いが粗いんだからな。仕方ない、ちょっと出てくるが、おりこうにして休むんだぞ、悠ちゃん」
「ちゃんとか、言うなってっだろ!」
 悠は毛布から顔を出して言い返す。
「はは、アイちゃん、この坊やがおいたしないように見張っててくれ。あ、お腹すいたら、冷蔵庫に色々入っているから食べていいよ」
 アイちゃんは自分用のベッドから出てきてお座りすると、キュワン、とひと声。
 藤堂が出て行くと、急に部屋は静まり返った。
「テレビもないのかよ……この部屋は」
 しっかし、変なおっさん。
 やなやつ、って思ってたのに。
 だけど温かかった。人って、あったかいんだな。
 さっきどさくさまぎれに抱き込まれた時、その温かさが何だか懐かしかった。
 クウン、とボーダーコリーがいつの間にか傍にきて座り、まるい目でじっと悠を見上げている。
 主人の言いつけを忠実に守ろうとでもいうように。

 


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