サンタもたまには恋をする 42

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「じいちゃんとばあちゃんだからさ、死んでもあったかいんだ」
 熱々のシチュウをほおばりながら悠は訥々と言葉をつむぐ。
「海が歌ってるんだ、ばあちゃんとじいちゃんに」
 なるほどとうなずきかけて、藤堂は「歌ってる?」と悠の言葉を鸚鵡返しに口にする。
「ガキの頃さ、浜とかで遊ぶだろ? 夕方になるとすんげくでかい太陽が真っ赤になって、ずっと見てるとそのうち海が歌い出すんだ、こう、ゆっくりと」
「へえ」
「俺を呼びにきたばあちゃんと一緒に海の歌聞きながら帰るんだ」
 海が歌うなどという、子供染みた或いは突拍子もない発想が、何故だか悠が絵の中に創りあげた薄紫の空間からは納得できるような気がして、藤堂は知らず微笑んだ。
「好きだったんだな、悠は。おじいさんとおばあさんのこと」
「うん」
 これ以上もなく素直に悠は頷いた。
 ひどく純粋なのだ、この子は……
「おかわり! あんた、料理うまいよな」
「そうだろう? なかなか時間がないんで、いつもは作れないが、味にはうるさいんだぞ」
 当然のようにおかわりをする悠に、すっかり気をよくした藤堂はいそいそとシチュウを皿に盛りつける。
「そういえば、今更だけど教授とやりあったから個展をやるんだって、高津くんに聞いたんだが、卒業制作は大丈夫なのか?」
 悠は「高津、よっけいなことを」と眉を顰めた。

 


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