サンタもたまには恋をする 46

back  next  top  Novels


 どおりでエリートの匂いがすると思ってた。
 だから何だって? 何で俺があいつのことでイチイチ動揺しなくちゃいけないんだよ!
 冗談じゃねー…
 唐突に、藤堂の指が唇に触れた記憶が蘇る。
 あの時、思わずからだが震えてしまった。
 驚いたからだと、自分に言い聞かせていた。
「あー、うるさいうるさい、散れ!」
 抑えようとすると余計に血液が騒ぎ出す。
 藤堂が自分にだけ優しいわけではないことはわかっているはずだ。
 藤堂に恋人がいたからって、どうでもいいことじゃん。
 俺には関係ねーじゃん。
 だいたい、俺、男だし。
 そう思いながらも、心の中でまた新たな不安がトグロを巻く。
「なんだよ! どうしたんだよ、俺!」
 カンバスの前に座ってもちっとも絵は進まなくなった。
 次の日も同じで、悠はぼんやりと、リビングの真ん中に座っていた。
 藤堂は一週間の出張だと言っていた。
 どことは聞かなかったが、海外に違いない。
 いや、部屋にいていいと言った手前、厄介な居候を無碍にもできず、今頃、彼女と羽を伸ばしているのかもしれない。
 そうか。
 そうだよな。
 夕方になるとアイちゃんがキュウンと散歩の催促をする。

 


back  next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ