「おう、ハル、元気してたか?」
「ハルちゃんボックスにお菓子一杯入れといたからね」
久々の大学で、仲間たちの顔を見ると、悠はちょっとほっとした。
これで飯倉さえいなければ、めちゃ楽しい学生生活なのに。
「よう。心配してたんだぜ、急に出て行くから。こっちにも出てこねーし。ほんとにあの、藤堂ってやつんとこ、転がり込んだのか?」
悠を見つけて、高津がやってきた。
「………うん、まあ……、責任がある、とか言っちゃって、あいつ。絵もそこで描かせてもらってる」
高津は、がしっと悠の肩を抱いて顔を覗きこむ。
「まさか、置いてやる代わりに、とかって、あのおっさんに、変なことされてねーよな?」
「な、何だよ、変なことって! お前こそ、変なこと言うなよ!」
焦って悠は言い返す。
何でそこで焦るかよ……
自分の心が勝手に暴走していくような気がする。
悦子は一五〇号に、猫や花をちりばめているのだが、彼女が描いている花は、いつぞや悠が藤堂に押しつけられたバラだ。
捨てることもできず、アトリエに持ってきたところ、悦子が画材にするというのでドライフラワーとなっていた。
「面白れぇな、高津、やっぱ立体にして正解じゃん」
悠は高津の作っている高さ三メートルもありそうなオブジェに近づいて眺め回す。
「お前、こいつ元はペットボトルとかなんだだぜ。それに紙粘土くっつけるのに結構かかったんだ。題して、『リサイクル1』」
「高津、タイトル、芸なさ過ぎ」
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