「アーティストはデリケートだからな、作品展が迫ってきて、どうも神経ピリピリしてるみたいだから、しばらくおいてくれ」
パリから帰った翌日から、浩輔に頼んで達也の部屋にまた居候を決め込んだ。
悠と一緒にいたら、ほんとにやばいことをしでかしそうだった。
結構いろいろなコとつき合ったし、遊んできた藤堂だが、こんな気持ちになったのは初めてだ。
大切にしたい。
心からそう思う。
だが一緒にいたら、おそらく、悠の『先輩』と同じ轍を踏む可能性が大なのだ。
悠がそんなことを望んでいない以上、それはやってはいけないことだ。
藤堂は吹っ切ったつもりだった。
オープニングには美保子がパーティを開いてくれたのだが、そんな盛大なものになるとは、悠は予想していなかった。
ドレスアップした紳士淑女がわんさか押し寄せたからだ。
大学のアトリエに案内状をひと包み置いてきたものの、これではクラスの仲間がきてくれても気後れしそうな雰囲気だ。
back next top Novels