夕方近くになるとギャラリーの顧客はもとより、プラグインの関係者や友人知人たちまでが集まってきた。
「ステキねーーー、空に吸い込まれそう」
そのうちの一人、直ちゃんと呼ぶ女の子と浩輔は仲がいいらしく、二人で何か話しながらコロコロと笑っている。
遅れて現れた藤堂はすぐさま人に囲まれ、顔を合わせたら、こう言おう、なんて考えていた悠は出鼻をくじかれた。
「あ、いたいた藤堂ちゃあん」
大きく胸のあいたミニのドレスでいきなりやってきてその藤堂に腕を絡ませたのは、女優の長谷川美香だった。
「わざわざありがとう、美香ちゃん」
にっこり笑った藤堂は、あくまでも紳士的な態度でシャンパンの入ったグラスを渡す。
「藤堂ちゃん、また今年もプラグインでクリスマスパーティやるんでしょ? 楽しみにしてるからねっ、サンタさん!」
美香が周りに愛想を振りまきながら奥の方に行くと、今度は浩輔といた女の子が藤堂を見つけて駆け寄ってきた。
「もちろんさ、直ちゃん! 任せなさい!」
藤堂の視線の先には、客から質問攻めにあい、仏頂面でぞんざいに返事をしている悠がいた。
ふいに悠が顔を上げた。
藤堂の視線に絡む悠の瞳が揺れる。
なんともいえない、頼りない表情を垣間見た気がして、藤堂はすぐにも傍に向かおうとしたのだが、今度は馴染みのギャラリーのオーナーにつかまった。
誰か、何か聞いてきたが、悠の意識はぼんやり藤堂へと向かっていた。
そういえば初めて藤堂と会ったあの夜、持っていたシュークリームは誰にやるつもりだったんだろうと、何気なくテーブルの上に並んだシュークリームに手を伸ばした悠は思い起こした。
しかもあんな豪華なバラの花束……恋人以外にないじゃん。
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