藤堂と悠が新しいマンションに引っ越したのは忙しない十二月下旬のことだった。
たまたまオフィス近くの新築マンションに広いルーフバルコニーのある部屋がキャンセルになったと聞きつけ、藤堂は即手に入れたのだ。
玄関にはアイちゃんを描いた絵が、三十畳ほどあるリビングの一角には藤堂とアイちゃんが描かれた一五〇号、寝室や書斎にもそれぞれいくつかの絵が飾ってあって、ちょっとした美術館のようだ。
卒業制作には海のシリーズから提出するように、という飯倉からの伝言を、悠は数日前に部屋を訪れた高津から受け取っていた。
藤堂に押し切られて、この新しい部屋に同居することになったと悠が高津に言うと、「そうか、ついに、おっさんの手に堕ちたのか」などとオーバーアクションで悠を抱きしめた。
「そういや、サンタって、何だよ? オープニングの時も直って女が言ってたけど」
夜、仕事から帰ってきた藤堂に、悠は気になっていたことを尋ねた。
「イブにパーティをやるのさ。で、俺がサンタさん!」
得意げに宣言する藤堂を見て、悠は脱力する。
「……あんたの、やりそうなことだよ」
「でもたまには、サンタにもプレゼントがあたるらしい」
「?ああ?」
「悠ちゃんが当たった」
いきなり抱きしめられて、悠は一瞬硬直する。
「ざけんじゃねー! だいたい、あんた、まだ使えるってのに、家具一式買い換えやがって!」
今度はジタバタと悠は藤堂の腕の中で暴れ出した。
いや、怒っている悠も何かメチャ可愛い。
うん、とりあえず今度のイブは最高にハッピーな夜になりそうだ。
藤堂は満足げに笑った。
おわり
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