空はやっぱ青い10

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 明け方、衣擦れの音がして隣にいた男がベッドを降りた気配がした。
 やがてドアが閉まる音を、良太はどこか遠くで聞いていた。
 ちぇ、動けねえ。
 もう行っちゃうのかよ。
 良太は目を開けるのも億劫で、そのうちまた眠りが舞い戻った。

 朝、広いベッドの上に一人ぽつねんと良太は起き上がった。
 いつものごとく、工藤はとっくに部屋を出ていた。
「ちぇ、朝のコーヒーくらい、飲んでったってバチはあたらないじゃんね」
 良太は呟いた。
 あーあ、あと一月半くらい?
 でも、東洋商事があるから延びるかもだし。
 次はいつ会えるんだろう。
 ま、いつかは会えるか。
 気を取り直して良太がベッドを降りた頃、工藤はジョン・F・ケネディ国際空港にいた。
 送ってくれたケントはすぐにアパートへ引き返した。
 別に次のエアでもよかったのだ。
 だが、グズグズしていると離れがたくなるのは自分だと、良太の顔をみれば後ろ髪を引かれるに違いないと、工藤はとっとと出てきたのだ。
 東洋商事のプロジェクトなんかで、そうそう良太をニューヨークなんかに留まらせてたまるか。
 仕事は山とあるんだ。
 研修が終わり次第良太を東京に帰らせるぞ。
 ロスアンゼルスに向かう機の中で、工藤はひとり気を吐いた。

 週明けからネットプライムでの研修はさらに本格的なロケへの参加となった。
 これまでのプロジェクトでもニューヨークのメジャーなポイントでのロケなどがあったが、ウオール街を舞台にしたドラマだったので、室内での撮影が多かったが、今度はアクションが多いクライムサスペンスだ。
 次のプロジェクトに参加するように言われたメンツの中には、良太とジミー、それに日本人社員の内海もいた。
 相変わらず内海は良太に対して敵対心をあらわにしていたが、良太とジミーはすっかり打ち解けて家族のことなども話すようになっていた。
「へえ、妹って美人?」
 帰りにバーによって、ビールを飲みながら良太が亜弓のことを話すと、ジミーが目を輝かせた。
「まあ、美人? でも彼氏いるよ」
「そっか」
「中学の教師をしてる。ちょっときついけど、俺よりしっかりしてるな」
 良太が言うと、ジミーは笑った。
「アンジーも、俺の姉もきっつい! 地元で警察官やってるんだ」
「へえ、じゃ、今のドラマとか、よくわかるだろ? 警察モノだし」
 するとジミーは首を横に振った。
「いやあ、実際の警察とドラマじゃやっぱり違う」
「そういうもん?」
 良太が聞くとジミーは頷いた。

 

 


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