空はやっぱ青い14

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 それだけ良太の存在がスタッフや俳優陣にも浸透しているということが少し頼もしく思える反面、工藤自身にとっても、会社に戻っても良太がいないという日常がもどかしく味気なさを感じさせていた。
 それに加えて朝のMBCでのミーティングで、既に実力派の俳優が主演に決まっていたところへスポンサー推しの俳優を何とかW主演にしたいという局のプロデューサーのアホさ加減に一度は文句を言ったものの、スポンサーの頼みを断り切れないと泣きを入れられ、局の上層部もなんとかそれで納めたい思惑がみえみえで工藤は心底激怒していたのだ。
 そんな憤りを抱えたまま顔を出したスタジオでは、脇とはいえバイプレーヤーとして名も知れている家政婦役の俳優が二度もミステイクし、次には刑事役の天野のシーンにそぐわないオーバーアクションを見た工藤はそこで溜まりきった鬱憤を晴らすかのように雷を落とした。
 しかもぽっと出の新人ならまだしもベテランの白河が茶を点てるシーンでとても次期家元夫人役とは思えない所作でミスり取り直しをする。
 さすがに二度目もあれでは風情も何も感じられないと、工藤は雷を落としたのだ。
 確かにひどい怒号だったとは自分でも思うが、それにしても、雷を落とさずにはいられないような体たらくを何とかしてくれ、とは工藤の心の叫びだ。
「コーヒーどうぞ」
 口を開くとまたガミガミ口走りそうで、むすっとした顔で腕組みをしていた工藤に、森村が湯気のあがるコーヒーを差し出した。
「おう」
 周りが工藤を遠巻きにしているところへ、意外な森村の笑顔を見ながら工藤はカップを受け取った。
「なんか昨日から雨続きで、うっとおしいですよね。このジメジメって、俺一番苦手なんですよ。日本にずっと住んでる人もいやだって言ってます」
「梅雨にはまだ早いだろうが、ここんとこ気象予報も読めないからな。慣れなくてもいいが、梅雨対策は考えた方がいいぞ」
 森村と話していると、工藤の声のトーンも落ち着いてきた。
「良太さん、頑張り過ぎてませんでした?」
 その言葉に、森村は良太のことをよくわかっているらしい、と工藤は思う。
「ああ、肩の力を抜けって言っておいた。それにあいつはどこでも事件を呼び込むから気をつけろってな」
 そんなことを口にしながら、工藤は佐々木のところへ行ってアドバイスを求めている白河に目をやった。
「監督」
 工藤は山根に声をかけた。
「何でしょう?」
 山根はすぐにやってきた。
「茶室のシーンだが、白河自身、納得いっていないようだし、後日改めてというわけにはいかないか?」
 すると山根は大きく頷いた。
「そうですね、白河さんに話してみます。どうせなら納得いく絵を取りたいでしょうし」
 そう言うと山根は早速佐々木と河のところへ向かった。

 


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