空はやっぱ青い19

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「宮下の言うには、良太と沢村がキッズチームの頃からの知り合いだとは聞いていたが、それほど親しいとは思わなかった、あのレポートを見て、今までにない沢村を引き出せるのは良太がいればこそだと思ったんだと」
 淡々と説明する工藤に、良太はイラついた。
「いきなりプロジェクトリーダーを押し付けたかと思ったら、今度は一緒にCMとか、宮下さん、何考えてるんですか、ほんと」
 ったくくえないおばさんだよっ!
 良太は心の中に宮下の顔を思い浮かべて喚く。
「プロジェクトリーダーを降りろとかは言ってなかったぞ? まあ、お前も一緒に出ればいいだけの話だろ」
 キリキリと訴える良太に、工藤はどうってことのない話のように続けた。
「まさか、工藤さん、はいそうですか、って受けたわけ、それ」
「本人と話してくれと言っただけだ」
 そんな工藤の言い草に良太はカッと頭に血が上る。
 東洋商事のCM出演など、パワスポの『良太PのMLBレポート』とはわけが違う。
 良太にしてみれば、聞かれれば黒歴史と答えるくらい、数年前のCMやドラマ出演などは思い出したくもない話なのだ。
 当時のスポンサーだった鴻池にもつながる、胸のあたりにどす黒いわだかまりもまたもたげてきそうだ。
 工藤なんか、こいつに商品価値があるわけがない、なんて言っておきながら、何だよ、それ!
 良太は少し息をつくと、「わかりました。次のミーティングでそんな話が出たら、俺から宮下支社長にはきっちりお断りしておきます」と告げた。
「俺に直に言ってきたくらいだから、宮下はただでは引き下がらんぞ」
「昔俺がCMに出た時なんか、俺なんかにできるわけないとか怒鳴ってたくせに、あんた何言ってんだよ!」
 思わず口走った良太に、工藤は鼻で嗤う。
「俺が怒鳴ろうがへとも思わずちゃっちゃかCMに出たのはお前だろうが、何を今更。大体、クソミソに言われたことを繰り返すようなヘボなやつをわざわざ海外に研修にいかせるような余裕はうちにはない」
「何がちゃっちゃかだよっ! ああ言えばこう言うってあんたみたいなやつのことだよな!」
「俺にほざいたって、宮下が翻意するわけじゃないからな。まあ、覚悟しておくんだな」
 出自が特殊でなければ黒を白にして容疑者を無罪にすることすら朝飯前な弁護士にでもなっていたに違いない工藤はそんなセリフを吐いて電話を切った。
 良太は思わず携帯を投げつけそうになった。
「何が覚悟だよ! 何がただでは引き下がらん、だよ! 冗談じゃない!」
 誰もいない部屋で良太は思い切り喚いた。
 握りしめた携帯は投げつけると修理代もかかるとはたと我に返り、すんでのところで思い留まったが、せっかくちゃんと眠ろうと思っていたのに、目が冴えてしまった。

 


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