空はやっぱ青い4

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 林立するビルの谷間でお上りさんよろしく、「うぉ、ほんもののNYPDだ!」とパトカーや自分よりも大柄な女性警察官を見た良太は思わず口にした。
 つい携帯で写真を撮っている良太の腕を引いて、森村は車へと戻る。
「次、行きますよ、良太さん。時間が限られてるんですから」
 助手席に良太が森村はNYPDの博物館へと車を走らせる。
「やっぱ、ドラマと違って本物は迫力が違うよな」
 まだ興奮状態の良太を横目で見ながら、森村はクスリと笑った。
 森村とのそんな楽し気な毎日も十日ほどが経ち、ついに森村が明後日には日本に帰るという週末がやってきた。
 佐々木オフィスのアシスタント、直子からお花見の誘いがあったのはつい昨日のことだ。
 今年は暖かいからかセントラルパークの桜は今まさしく満開で、ソメイヨシノだけでなく深いピンク色の八重桜も開花してみごとに連なり、広瀬良太はしばらくただ見入っていた。
「良太ちゃん、花びら食べちゃってるよぉ」
 直子がぽかんと口を開けて花を見上げていた良太をからかう。
 広大な芝生が広がる花見スポットには、あちらこちらで同じようにシートを広げて人々が集い、ランチを楽しんでいた。
「久々、帰って来たあって感じ!」
 森村がシートに寝転がって声を大にした。
「子どもの頃から春になると、よく友達とここにピクニックに来たんだ」
「ちょうどこの季節に帰ってこられてよかったな」
 良太は解放感に浸りきっている森村を見て笑う。
 良太と共に東京は乃木坂にある青山プロダクションの社員である森村繁久は日系三世で出身はこのニューヨークだ。
 お前も一緒に行け、という社長の工藤の命を受けて、今回、ネットプライム本社で研修に参加することになった良太のお供で、二週間ほど滞在している。
「日本にいる時よりゆったりとお花見ができるね!」
 バスケットから持参したお弁当を取り出しながら、直子は笑顔を向けた。
「あ、もちろん、青山プロダクションの桜もすてきだけど、向こうは幽玄って感じよね」
「あっちは夜桜やからなあ。それに年々、優雅になってきよるな」
 頷きながら佐々木はポットからお茶をカップに注いだ。
 ニューヨークに来る前、いつものように会社の裏庭でお花見をやったのがついこの間だったのだが、何だか随分前のことのように、良太には思われた。
 著名なクリエイターで一番町にオフィスを構えている佐々木周平だが、今回、東洋商事がニューヨーク支社を刷新することになり、本格的始動は九月になるが、その広報プロジェクトのためにアシスタントの池山直子を伴ってニューヨークに来たのである。
 しかも広報プロジェクトには代理店プラグインの藤堂とともに、東洋グループ次期CEOと目される綾小路紫紀の要請で良太も参加することになっただけでなく、プロジェクトリーダーに指名されたのだ。
「ピザとドーナツが来たよ」
 そう言いながらやって来たのは、佐々木オフィスが入るビルのオーナーでトニー・ウイルソンとそのパートナー、マイケル・リードだ。
 ウイルソンのビルに佐々木オフィスが入った経緯は紆余曲折あるのだが、要は沢村と佐々木が付き合っていて、沢村が半ば強制的にオフィスのみならず、佐々木と直子それぞれビルへの入居を決めたわけだが、当の沢村は今日はシカゴでゲームがある。

 


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