空はやっぱ青い48

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 何か、ニックってまるで忍者みたいだよな。
 研修は今、ニューヨークの刑事を主人公にしたクライムサスペンスの撮影現場で、いろいろな役割を担うスタッフについて、良太らが実践で動いている。
 幸か不幸か、撮影シーンは無残な銃撃殺人現場で、良太はつい今朝のリアル現場を思い出してしまった。
 真っ赤に染まったのは血のりだと理解はしているものの、シリアスな内容のドラマはリアルだ。
 銃弾の方向をレーザーが何本も交わって示している。
 鑑識役の俳優陣が、本物さながらにきびきびと動いている。
 しかしドラマならいいが、ジミーの話を聞くまでもなく、リアル事件などに近づきたくはないと、良太は改めて思う。
 午後からは自由に意見を言い合うディスカッションが行われ、今回のエピソードにはディレクターも兼任している主演を務めるベン・タイラーも参加していたため、中身の濃いものになった。
「自分が演じながら、ディレクターとしてドラマを牽引されたわけですが、何が一番大変でしたか? 手ごたえはありましたか?」
 ふと良太はベンに尋ねた。
 ベンはもともと演ずる側の人間だから、自分とは違うとは思いつつ、ダイレクトに聞いた。
「両方やるって、二つの重責を担うみたいに思われがちだよね。でもそうでもないんだ。俳優として長くやってきて、いろんな監督の現場づくりなんかを見てきたけど、俺だったらこうってことも結構あったんだ。それは演じる人間ならではこその視点っていうか。監督と演じる側二つの視点ってことではきっちり切り替えをする必要があるとは思うけど」
 そこでベンは一呼吸置いて続けた。
「時にはさ、両方の視点から見る相乗効果みたいなものも期待できそうって思わないか?」
「相乗効果ですか」
「前に、こんなことがあったんだ。ベッドに行くまでのイチャイチャシーンってのがあって、いつもの監督はそこを派手に、互いに興奮して服を脱ぎ捨てる、みたいなふうに持っていくんだが、その時の相手の女優さんがね、やれって言われればやるけどあんまりそういうの好きじゃないって人で、確かに、派手にいちゃつく方が目を引くんだろうけど、俺はここはしっとりと映画みたいに撮ってくれって言ったんだ」
 良太は頷きながら聞いていた。
「そしたらさ、放映されたら結構評判よくってさ。うーん、相乗効果っていうか、化学反応? みたいな? ほら、何かを創るってさ、これやったらどうなるんだろう、って期待があるじゃない?」
「そうですね、期待、って、創る者にとっての醍醐味、ですよね」
 するとまとめ役のフランコが「おっと、ベンと良太ワールドになっちゃってるね。なかなか面白い話だけど」と割って入った。
 周りから少し笑いがおこり、「ああ、でも面白かった。同時にいろいろな視点で見るってことも必要だって思ったよ」という意見も出た。

 


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