空はやっぱ青い49

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 良太はベンという俳優が、誠実に語ってくれたことが嬉しかったし、演技では結構ちゃらんぽらんなキャラをやっているのでかなりハイテンションな人なんだろうと思っていたが、演技力がなせる技だったのだと思いなおした。
 だが、創造には期待がある、という考え方に良太は共感した。
 期待を持って創る、じゃないと、やはり人は見てくれないだろう。
 自分が撮られる側になることに、変にこだわっている場合じゃない、仕事に期待を持って向かわなくてどうする、と、良太はある意味覚悟を決めた。

 

 東洋商事のミーティングでは、佐々木がほぼ紫紀の提案に沿ったプランを展開し、藤堂がビジネス環境、東洋商事を取り巻く外部環境、競争力や収益性、市場への参入障壁などを把握し、コントロールするためのマーケティング分析をきっちり行った。
 良太は沢村と良太、それにアスカを起用する意義として、パワスポのレポート動画とそれに対するSNSやネット、マスコミ等の反応を説明した。
「MLBで活躍しているアスリート沢村智弘、俳優として演技力も増してきた中川アスカ、そして沢村選手とはリトルリーグの頃からの付き合いで、中川アスカとは映画やドラマを制作していく上でのチームメイトとしての広瀬良太が、ドキュメンタリータッチで自然な形で二人の声、想いを引き出し、語ってもらおうという趣旨です」
 ミーティングはおおよそ好意的な反応に終わった。
 ほっとして佐々木の後から会議室を出たところで、「広瀬さん」という声を良太は背中に聞いて、一瞬固まった。
「はい」
 良太は一つ軽く深呼吸して宮下支社長を振り返った。
「よかったですよ、この調子でガンガン進めてくださいね」
 何とお褒めの言葉かと「はい」と思わず笑顔になった良太だが、「あのね」という宮下の言葉にまたドキリとする。
「ミーティングではうまくまとまっていたし、何もケチをつけるようなところはなかったんだけど」
 良太はその次の言葉を待った。
「まがりなりにもあなたは、このプロジェクトのリーダーですからね。沢村さんと中川さんお二人の繋ぎ役ではないので、その自負はお忘れなきよう、お願いしますね」
 そういうと宮下は佐々木にもにっこりと挨拶して、踵を返した。
「びっくりしたあ」
 エレベーターが動き出し、佐々木と二人きりになったところで、良太はようやく口にした。
「何を言われるかと思いましたよ」
 すると佐々木はハハハと笑う。
「良太ちゃん、どんなお偉方でも怖いものなしのくせに、宮下さんだけは苦手なんやな」
「いやあ、何というか、妙齢の女性の方々って、なかなか………佐々木先生、佐々木さんのお母さんもどっちかっていうと怖いですよ」
 良太は眉根を寄せて言った。
「ああ、うちのおかんは、誰でも苦手やから、気にせんでええて」
 それとな、と佐々木は続けた。
「さっきの宮下さんの言うてたこと、ほんまやで?」
「え?」
「あくまでも、このCMは三人の人間がメインなんやいうこと。プロジェクトのリーダーが、MLBの選手や俳優さんと肩を並べな、意味ないいうこと」
「あ、はい」
 あくまでも客観的にとらえたつもりだったのだが、宮下やそれに佐々木には、どこかしら遠慮がちな良太が見えていたに違いない。
 良太は真面目な表情で、佐々木に頷いた。

 


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