幻月8

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 その夜、良太は『からくれないに』の撮影が行われているスタジオにいた。
 撮影は朝から続いていて、ようやく終わったのは夜の十一時になろうという時だった。
「お疲れ様です」
 山内ひとみや大澤流、端田武、それに本谷和正が帰っていくのを見送った良太は、控室から出てきたアスカに声をかけようとしたところで、ポケットの携帯が振動するのに気づいた。
「はい、あ、こんばんは、お疲れ様です」
 相手は小林千雪、『からくれないに』の原作者である。
 今頃珍しいと、何となく胸騒ぎがした。
「落ち着いて聞けよ」
「はい? え………」
 落ち着けと言われたが、千雪の話に良太は耳を疑った。
「何で……」
 絶句している良太に何ごとかよくないことが起きたらしいのを察知して、アスカを伴ってスタジオを出ようとしていた秋山は良太に歩み寄った。
「わかりました」
 良太は携帯を切った後もしばし呆然としていたが、「良太?」と秋山に声をかけられてハッと我に返る。
「どうしたのよ?」
 アスカも心配して尋ねた。
「工藤さんが、警察に、捕まったって」
 秋山は途端、眉を顰めた。
「捕まったって、まさか中山会がらみの?」

 


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