「えっとこれで揃いましたね。あと、いいですか?」
秋山がみんなを見回した。
理香と彩佳がアスカと一緒にレクサスに、加藤が運転するチェロキーには、工藤、牧、藤堂、悠、大が、沢村の車には佐々木、直子、宇都宮、森村が乗り込んで、秋山の先導で工藤の別荘へと向かう。
「なんか、遠足みたいね~」
助手席のアスカがのんびりと笑った。
「呑気だな。食事会、それで行くわけじゃないだろ?」
秋山が顔も動かさずにハンドルを切る。
アスカはセーターとコーデュロイのパンツにブーツだ。
「あとで着替えるから」
「会社のお食事会ですって?」
後部座席から理香が口を挟む。
「ええ、古参の社員で、皆がいつもお世話になっている人の誕生日なんです。近くのリストランテ『カンパネッラ』で」
秋山の答えに、「あそこ美味しいのよね! オーナーシェフがカッコいいし」と理香が言った。
「もう、理香ったら、イケメンに目がないんだから。でも、美味しいことは知ってる。住宅街にあるから、知る人ぞ知るだったけど、最近、口伝で評判になってますよね」
彩佳が笑いながら言った。
「今日誕生日の平造さんとは吉川さん懇意にしてもらっているんですよ」
「そうなの? でも青山プロダクションって仲いいみたいね」
「いや、社員少ないですからね、アットホームっていうやつです」
秋山が言うと、「でもさ、ここまでアットホームって、良太のお陰」とアスカが断言した。
「確かに。今や良太が会社を盛り上げてるって感じかな」
秋山もアスカに追随する。
「さすが良太ちゃん、やるわねえ」
理香も微笑みながら感心する。
「良太ちゃんって、一見可愛いって感じだけど、行動力ありそう」
彩佳もねえ、と理香に同意を求めた。
「あの子ってよいしょとかできないしウソつけないから、時々生意気なのよ」
アスカが唇を尖らせる。
「あらでも千雪ちゃんみたいに毒を吐かないからいいわよ」
「毒舌家の理香もたじたじだもんね」
理香と彩佳の言葉にアスカがアハハと笑う。
「ま、うちは良太がいないとガタガタよね~」
「それは同意だな」
秋山は、後ろの車がついてきているか確認しながらハンドルを握る。
やがて工藤の別荘が見えてくると減速し、開いている門の外に良太が立っていた。
「お疲れ様です。中に入って下さい」
良太は後ろの二台の車も門の中へと誘導した。
「こっちもかなり年代物のお屋敷ですね」
宇都宮が感心しながら玄関に立って吹き抜けのホールを見回した。
するとキッチンの方から大きなトレーに紅茶のセットを乗せた平造が現れた。
「大勢で押し掛けてすみません」
「いやあ、よういらっしゃいました。とりあえず、ちょっと休んでください」
平造の後ろからは杉田がクッキーとともにこちらも紅茶セットを乗せたトレーを掲げて入ってきた。
「あらあら、お寒い中いらっしゃいませ」
にこにことみんなを出迎えた杉田はホールに続くリビングの大テーブルでカップに紅茶を注いでいく。
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