「将太からの情報や。例の生駒市の事件現場にほど近い別荘に仕掛けたカメラが捉えた映像や。車が来て、乗っとったんは柏木らしいで。髪切ったな。画像送った」
良太は画像を見た。
不鮮明だが黒いコートに身を包んだ女性は、おおよそ柏木のように見える。
「みたいですね」
これで柏木は殺人犯だと確定したようなものだ。
「大石はおそらく柏木を工藤さんに近づけてから手島を殺害させて、工藤さんを犯人に仕立てろとでも言うたんちがうか? ところが柏木は土壇場で大石に逆らって工藤の代わりに篠原を陥れたんやろ」
千雪の読みは多佳子の話とほぼ同じだった。
良太は、多佳子からプリペイド携帯を使って連絡が入ったことや内容をかいつまんで話した。
「俺の読みと同じやったら、その話信ぴょう性高いわ」
「でもここにきて、どうして柏木弁護士は反旗を翻したんですか?」
「柏木はそこから抜け出したかったんちゃうか?」
「まあ、それはそうなんでしょうけど。それで、柏木弁護士はこれからどうするつもりでしょう? 工藤に接触するとか?」
良太はそれだけが心配だった。
「それはどやろ。モリーにも知らせてあるし、モリーから上司にも伝わっとるはずやから、下手なことにはならんと思うが」
「京都の撮影も大詰めなんで、結構殺気立ってるし、邪魔をさせたくないんですよね。大石、千雪さんを狙うとか場当たり的なことをやらかしたし」
電話の向こうで千雪が笑った。
「わかったて。淳史と将太にもよく言っとくわ。まあ、警察も大石も焼死体が柏木で、篠原が殺したて信じとるが、柏木が大石をそのままにしとおくとは思えへんから、なんぞ仕掛けて行ったかもしれん」
そこで良太ははたと気づく。
「柏木さん、今どこにいるんでしょうか? 河原町の事務所は閉まったままなんですよね? 認知症のお父さんはそのまま施設に?」
「さあ、淳史らが見たのはその場でじゃなく、カメラから送ってきた画像やからな。行ってみてももういーひんわ」
「髪を切って、カムフラージュして、どこかへ逃げたってことですか?」
「せやろな。まず、モリーの上司なら空港に向かったて考えるやろ」
良太はふうっと息をついてから、「そうか、高跳びってやつですか」と言った。
千雪は、それ以外ないやろ、と言い、また何かあったら連絡すると言った。
いっそのこと高跳びなら、とっととアメリカでもどこへでも行ってしまってほしいと良太は思った。
柏木には金輪際工藤に近づいてほしくない。
できるものなら、良太がずっと工藤に張り付いていたいくらいだ。
邪魔されてたまるかよ!
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