春立つ風に148

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 え、こうして報道されるということは、それ相応の証拠が出たということだよな。
 柏木弁護士がやはり大石のことで何か仕掛けていったんだろうか?
 やっぱり警察は柏木が生きていることをまだ掴んでいない?
 工藤に火の粉が降りかかったりしないよな。
 良太の頭は次第に冷えて行った。
「また大石容疑者は篠原容疑者と結託して、手島尚嗣さん、柏木珠紀さんを殺害したと見て、調べを進めています」
 大石関連のニュースはそれで終わって、賑やかなCMに切り替わった。
 良太が顔をあげると、厳しい顔の秋山と目が合った。
 無論秋山も手島や大石が何者かを知っているのだろう、さっきアスカが良太をたきつけたのは柏木のことを知っていたわけで、おそらく奈々あたりと連絡を取っていたのに違いないし、秋山は秋山で小杉や谷川と連絡を取っていたはずだ。
「あら、もうお昼ですね、アスカさん、今日はどうなさるの?」
「今日は、もうなーんにもしない! 明日は久々オフだし」
 アスカはソファに座ると、うーんと伸びをした。
「秋山さんも疲れてるんだから、座ったら?」
 秋山は苦笑しながらそれでもソファに腰を下ろした。
「秋山さん、仕事もだけどアスカさんのお供でめちゃお疲れなんじゃないですか?」
 何の気なしに良太が言うと、「ちょっと、あたしの前でそれ言う?」とアスカが口を尖らせる。
「まあまあ。じゃ、お昼、何か取りましょうか? 鈴木さん」
 良太は秋山の疲労度を考えて提案した。
「あ、賛成! あたし、鰻が食べたい~!」
「わかりました。早速出前取りますね」
 鈴木さんは早速電話で鰻の特上を四人前注文した。
 良太と鈴木さんの暗黙の了解で、疲れて帰ってきた人がいる時は、特上という決まりになっている。
「そうだ、小笠原」
 良太ははたと思い出してデスクに戻り、小笠原の携帯を呼び出した。
 今頃まだ寝ていたりする小笠原だが、運よく不機嫌そうな声が聞こえてきた。
「え、美亜ちゃんと食事? 行く」
「だから、俺と海老原さんと野口さんも一緒だ」
「OKOK!」
 小笠原の声が浮かれている。
「いつもの、パーカーにデニムとかスウエットはバツ、ジャケットは必須」
「わかった」
 良太は六時半にオフィスに来るように言った。
 でもどうして小笠原と俺なんだ?
 宇都宮さんと小笠原、ならわかるけど。
 ま、いいや。
 いろいろとぐちゃぐちゃな良太の頭の中には、小笠原や海老原のことを考えている余裕はなかった。
 顔をあげると、秋山も電話をしている。
 さすがのアスカも疲れているらしく、ソファに凭れて窓の外を見ていた。
 外は雪こそ降らないが、どんよりと重い雲が空を覆い、冷たそうな風が街路樹を吹き抜けている。
 頬杖をついて、二分ほどもポケっとしていたろうか。
 いきなりガンガンとデスクの上でワルキューレが鳴った。
「何だってまた海老原なんかと仲良しする必要がある!? バーの撮影は終わったんだろうが!」
 慌てて電話に出た良太は超ド級な怒鳴り声に思わず耳から携帯を離した。

 


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