辻、加藤、研二もやってくると、森村も手伝っててきぱきと荷物を車に運び込んだ。
これであとは工藤が帰ってくるのを待つだけだが。
良太は鈴木さんに一日だけ猫の世話を頼んだ。
セットしておけば自動でカリカリは出てくるし、水も同じくだ。
良太は手早くセーターとジーンズに着替えてオフィスに降りてきたがまだ工藤が戻ってこない。
時計はもう五時を回っている。
そろそろ出発しないとな。
「じゃあ、皆さん、そろそろ出ましょうか」
辻が先頭で行くことになった。
途中休憩するサービスエリアも決めてある。
仕方がない、工藤は追いかけてくるだろう、と駐車場に向かった良太だが、予定していたジャガーではなく、森村と牧は小回りが利くSUVに乗り込んでいた。
「やっぱりこっちの方が、向こうでもあちこち行くのに都合がいいでしょ?」
「え、ああまあ、そうだけど」
だが、助手席に牧が乗っているので、後部座席に乗ろうとすると、「良太さん、社長と一緒に来てくださいよ。社長一人じゃ、何かあった時心配だし」と森村が言う。
「え、ああ、まあ、そう、だけど」
同じようなセリフを良太は口にした。
「じゃ、サービスエリアで待ってますから」
森村は調子よく言った。
「気をつけろよ! 何かあったら連絡入れろ!」
「はーい!」
森村の車が出ていくと、良太はふうっと息をついた。
「あいつ………」
ひょっとして気を利かせたつもりなんじゃ……。
そんなことを考えながらぼんやりエントランスに立っていると、見覚えのあるベンツが来て停まった。
「なんだ、まだ行ってなかったのか?」
工藤がパワーウインドウを開けて言った。
良太は助手席に回ってドアを開けて座った。
「工藤さん一人じゃ心配だから、俺に一緒に行けって、モリーが」
フン、と工藤は鼻で笑う。
「新米にあしらわれてるじゃないか」
「五分ほど前に出発したばっかですから、サービスエリアで休憩の予定なんで」
工藤の揶揄を無視して良太は言った。
すると工藤はグンとアクセルを踏んでハンドルを切る。
「ちょっと、別に追いかけなくていいですから、スピード出さなくても……」
高速に入るとぐんとスピードを上げる工藤に良太は文句を言った。
「いいから森村に連絡入れておけ」
「入れますけど、ちょ、別に追い抜かなくても……」
走行車線をちんたら走る前の車を追い抜いた工藤に、良太はひやひやする。
「八〇キロなんかでのろのろ走られちゃ、余計危ないだろうが」
「雪、降ってるし、ゆっくり行けばいいじゃないですか!」
なんだかだと言い合いながら、二人は軽井沢へと向かった。
- おわり -
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