ちぇ、工藤、出かけてそのまましばらく京都だよな。
工藤の背中を目で追いながらため息をついたものの、すぐに午後からの打ち合わせへと頭を切り替えざるを得なかった。
丸の内にある日本有数のコングロマリット東洋グループの頂点に立つ東洋商事本社ビル一階のだだっ広いロビーで、プラグインの藤堂とクリエイターの佐々木と顔を合わせた良太は、否が応でも昨年の宮下営業第一部本部長、良太いわく怖いオバサンに突っ込まれたことを思い出さずにはいられなかった。
自分でもしつこいようにも思うのだが、あのオバサン、強烈だったもんな、と改めて思う。
って、いっけね、オバサン言ってると、マジ、オバサンとか口にしそうだ。
まるで工藤の呪いのようだと、ぞっとする。
数分遅れで沢村が現れた。
「わり、出がけに球団の広報から電話入っちまって」
そういう沢村の視線は、まっすぐ佐々木に注がれている。
「おい、会議なんだから、佐々木さん困らせるようなことすんなよな」
早速良太は沢村のようすを見て取って、こそっと囁いた。
「っせえな、わかってるよ」
四人は上層階にある広報企画室の隣の会議室に通された。
既に、会議室には東洋グループ次期CEOと噂される東洋商事代表取締役の綾小路紫紀を始め、中平広報室次長、岡林広報室長、宮下東洋商事営業第一部本部長、渡辺東洋フィナンシャル営業第一部本部長と、主要幹部が勢揃いしていた。
何やら重苦しい雰囲気を取り除いてくれたのは紫紀だった。
「堅苦しくなるから、私が紹介しましょう」
席を立って、東洋グループ側のお歴々を自分の隣に座る中平から順番に紹介していき、「最後に、私、東洋商事社長の綾小路です、よろしくお願いします」と取って付けのように言った。
「今日お招きしたのは制作を受けてくださった、まず、代理店プラグインの藤堂氏、お隣はクリエイターの佐々木氏、そして今回のプロジェクトでイメージキャラクターを快諾してくださった、関西タイガース、沢村氏、青山プロダクション所属プロデューサー広瀬氏です。広瀬氏は沢村氏のマネジメントも担当されています」
良太はプロデューサーなんぞと紹介されて背中がむずがゆくなる。
もちろん仕事はきっちりやるつもりだが、何だか、紫紀に直接オファーされて以来、あれよという間にこんなところに担ぎ上げられてしまった感が無きにしも非ずだ。
全ては諸事情により万年人手不足のため、青山プロダクションという会社の仕事の質と会社の規模がちぐはぐなところに要因があるかも知れないと良太は思う。
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