「朝食付きですが、昼夜の分は領収書下さい」
良太は付け加えた。
「良太はどこ泊まるん?」
千雪は小首を傾げて聞く。
「俺はクルーたちと一緒のホテルです、あ、檜山さんとか、俳優陣はプリンスとか」
「良太も俺らと一緒に泊まったらええやろ」
「え、いや、俺は監督と打ち合わせあったりするし」
「寝るときは別やろ? 何なら俺と一緒の部屋にしてもろたら」
「絶対嫌です!」
良太は断固として拒否った。
背後霊と一緒の部屋とか冗談じゃない。
「ほな、檜山さんも一緒に来たらええやろ」
千雪はごり押しする。
「いやでも、檜山さんはお一人の方が、演者の方は色々考えることがあると思うし」
千雪は立って良太のパソコンを後ろから覗き込む。
「このグレードやったらええんちゃう? みんなで飲み会もでけるし。檜山さん案外ざっくばらんな人やで? 聞いてみたらどや?」
強引な千雪の意見に負けて、良太は檜山に連絡を入れた。
「すみません、ホテルの件ですが………」
千雪らが温泉旅行に行くという話をすると、檜山は、「俺も行きたい」と即答した。
部屋は一人の方が落ち着きますよね、と聞いてみると、皆でワイワイがいい、という答えが返ってきた。
「はあ、まあ、どっかの部屋で宴会にはなりそうですけど、俺と一緒でも構いませんか?」
「一人より楽しいだろ!」
良太は檜山の電話を切ってから、すぐに先ほどのホテルに一部屋追加予約した。
檜山さんが泊まる予定の部屋はドリームエージェンシーの三木原澪に使ってもらえばいいか。
三木原のグレードをわざと下げたわけではないのだが、部屋が取れなかったのだ。
そうすると、ツインに三人とかってなってるワキの俳優さんたちをちょうど二人ずつにできる。
良太が部屋割りを考え直していると、「加藤、バイク?」と千雪が聞いている。
「だな。啓らと一緒に。旅行とか久々」
その様子を見て、加藤が喜んでくれているのならいいか、と良太は思う。
加藤は、それから警備員室を調べた後、駐車場に停めてあった車を調べた。
「ありました。ジャガーにくっついてたGPS。ベンツの方はOKみたいです」
ちょうど工藤が部屋から降りてきた。
「ジャガーに?」
GPSがジャガーから見つかったことを聞くと、工藤はまた険しい表情になった。
「あとはネット関連調べます」
「よろしく頼む」
工藤は良太を振り返ると、
「斎藤ジイと飲んだ後、夜中から『カラスの城』のロケだ。あと頼むぞ」
「わかりました。気を付けて」
良太が言い終わらないうちに工藤はタクシーを拾い、赤坂へと向かった。
「忙しい方ですね」
ボソリと加藤が言った。
「だろう? ちょっと見ただけでもそう思うよな?」
良太は思わず加藤に同意を求める。
「まあ、ワーカホリックは工藤さんの専売特許やから、しゃあないわ」
千雪はため息をついている良太の背中をポンポンと叩いた。
パソコン関連は調べたが、どれもOKのようだった。
工藤自身のパソコンは調べられなかったが、「あの人のパソコンは多分OK。専属のSPが調べたはずだし」と良太は加藤に説明した。
おそらく波多野が何らかの手をうっているはずだ。
そこは抜かりないだろう。
俺が連れて行かれたことで焦ったとか言ってたから、あの手のエリートって、そういう自分が許せないってタイプ多いからな。
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