「集団で来られるとやっぱ怖いよ。俺もガキの頃からこんな顔してたし、女みたいとかいじめられた」
檜山がさらりと口を挟んだ。
「俺もガキの頃からこんな顔で、皆に遠巻きにされてたさ」
ついでのように白石が言った。
途端、ガハハという仲間のわかり声が響く。
「お前、こんな顔、だけじゃねぇだろ? こんな身体ってのも遠巻きの原因じゃね?」
「…るせえよ!」
からかう加藤に白石が反論する。
「すみません、貸し切り風呂付のホテルにすればよかったですね」
千雪が露天風呂に入れないことを考えなかったと、良太は京助に詫びをいれた。
「バーカ、みんなでワイワイ入るのが露天風呂の醍醐味だろうが。千雪のは自分で越えるっきゃないんだよ」
「はあ」
京助の正論に返す言葉はない。
「そうそう! みんなでワイワイ、楽しい!」
檜山が笑うと、他のみんなもつられて笑う。
「でも、ここ割といい湯じゃない?」
白石がお湯を手ですくいながら言った。
「お肌がきれいになります! 白石でも」
茶化した山倉は白石にお湯をバシャッとかけられ、お湯の引っ掛け合いが始まった。
「ったく、お前ら、ガキが………」
ボソリと呟いた京助にも湯が飛んで来ると、応戦しないはずもなく。
良太や檜山にも湯が飛んできて、しばらくお湯掛け合戦が続く。
「ふう、みんなガキじゃん……」
のぼせそうになった良太が一抜けて、湯から上がった。
露天風呂に入るだけで、結構体力を使い、ヘロヘロになった良太と檜山が、今夜の宴会場となっている京助と千雪の部屋をノックすると、二人を中に入れた千雪が笑った。
「風呂で湯あたりしたんか?」
「いやもう、いい大人が、お湯掛け合戦で………」
良太の言葉に千雪は笑った。
「あいつら、でかいなりして何やってんね」
「俺らの貸し切り状態」
檜山が付け加えて苦笑いする。
「あの人ら見て、逃げ帰った人がいたらしいですよ」
良太が説明した。
千雪は「目に見えそうやで」と笑った。
「千雪さん、お風呂入った?」
「おう、とっくや。宴会の準備もな」
リビングのテーブルにナイトテーブルなども寄せて、デリカテッセンやデパートでテイクアウトしてきた総菜、鮨の盛り合わせがいくつかと、ビール、ウイスキー、焼酎、ワインのボトル、袋入りの氷がドンと乗っかっている。
「あいつら、半端なく食べるし飲むからな」
「はあ、そんな感じっすよね」
良太は先が思いやられて、溜息が出そうになる。
そのうちドアがノックされた。
「腹減ったあ」
「まず、一杯!」
風呂上がりの団体が部屋に入ってくると、広いはずの部屋だが、途端に密度が上昇する。
Lサイズの浴衣を着ていても、まだ丈が足りずに脛毛が見えている者もいる。
しばらくは、食べて飲んで、良太も負けじと健啖ぶりを発揮したものの、白石、山倉、辻らの豪快な食べっぷりには呆気にとられた。
そんな時、良太の手元で携帯が鳴った。
工藤か、とも思ったが、遠野、と画面に表示されているのを見ると、良太はバスルームに入り、洗面台の前で電話を受けた。
案の定、沢村を付け回している男に動きがあって、何と、先手を打って先にカメラを仕掛けたところ、沢村やアスカまで付け回している調査員の男が、どうやってか沢村の部屋に入り、盗聴器と盗撮器を仕掛けたという。
遠野の電話を切るとすぐ、良太は沢村を呼び出した。
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