「どうも、すみません、準備手伝えなくて」
良太は申し訳なさげに浩輔を見た。
「全然、大丈夫です。秋山さんがいろいろ手配して下さったので、お土産運ぶくらいで」
「あれ! 良太、あたしがやった衣装、どうしたのよ!」
良太を見つけて早速文句をつけたのはアスカだ。
シャープなメイクのアスカも、念の入れようが半端ない。
「ちゃんと着てますよ、スケルトンのTシャツは。もう、忙しくておちおち着替える暇がなくて。エレベータから降りたら工藤さんが、かぼちゃパーティなんかとっとと切りあげて戻れとかって電話で怒鳴るし」
ゴスロリ風の直子はビスクドールの大人版のような雰囲気で、ミリタリー風のコスチュームを着せられた佐々木とその隣には大柄な燕尾服の沢村がいるのを良太は確認した。
「工藤さん、大阪じゃなかったの?」
「早めに終わったんで、新幹線で戻ってきたらしいです」
「ふーん、相変わらず横暴!」
アスカの後ろから、「良太ちゃん」と直子が声をかけてきた。
「あ、直ちゃん、お疲れ」
直子はそのまま良太の腕を隅へと引っ張って行く。
「何かあった? 直ちゃん。佐々木さんと直ちゃん、ほんとベストカップルって感じだよね、すごく似合ってる二人とも」
「うーん、佐々木ちゃんは地がモデル体型で、何着せても似合うから着せがいがあるのよ。あの性格じゃなきゃとっくにトップモデルだったかも」
「あの性格?」
「目立つの嫌いだから。でも、直のことすごく有難く思ってくれてて、直の頼みだとノーと言えないのよ。今回も最初沢村っちが迎えに行くことになってたんだけど、ハロウィンパーティなんかパスって断っちゃって、しょうがないから直がお願いって言ったら不承不承」
「よく連れだしたよね」
「うん~、でもさ、佐々木ちゃんがもし、このパーティ、佐々木ちゃんと沢村っちが会うために計画したってわかったら、怒るってより、悲しくなっちゃうかも。それでやっぱり沢村っちと別れるとか考えるかもって………」
ああ、確かに佐々木さんにそうと知られるのはまずいよな。
「ごめん、沢村のバカが考えなしな発言するからこんなことに」
「佐々木ちゃん、植山の時もそうだったけど、みんなに迷惑かけたことすごい責任感じちゃって、それ以上に、あたしも往復ビンタだけじゃたんないくらい腹立ったけど、あの時沢村っちも植山殴っちゃったじゃない? 自分たちがつきあってることで、沢村っちがまたそういう事態になったりしたらって、それが怖いんだと思う」
それから二人して大きくため息を吐いた。
「ああ、そう、だよねぇ……。あ、でも、パーティはね、藤堂さんに話したら、だったらいっそ盛大にやろうよってことになって、ほら、あの人根っからのイベンターだから。みんなもちょっと声かけたら、即この気合の入れよう、好きなんだよ、楽しいこと。それにほらスキーん時のメンバー中心で、当り障りなしだから」
良太はいつになく考え込んでいる直子に、言葉を選びながら言った。
このホテルは実は東京での沢村の定宿でもある。
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