「みんなの希望日時をまとめると来週末ってことでAホテルは確保しました。二泊三日で、アスカさん、志村さんは撮影で一泊になりますが、親睦会は社員は全員OKです。ご家族の方がまだお返事保留の方がいますけど」
「そうか」
「一応、宴会場を借りて食事はホテルのメインレストランのシェフに来てもらう形でバイキングスタイル、年配の方もいるので、テーブル席はちゃんと用意してもらいます。ただ………」
良太はそこで言葉を切った。
「何だ? 問題でもあるのか?」
「いえ………志村さん、秋山さん、平造さん、真中くん、がご家族がいないか不参加で……」
社員の家族を招いて慰労会、いい案だと最初は思ったのだ。
だが、いざ、家族を呼ぶことを考えた時、平造や真中には家族がいない。
志村は折り合いの悪いという母親とは音信不通、姉は幼い頃養子に出されてこちらも音信不通だという。
秋山はこの会社に入るきっかけとなった事件のせいで、長野にいる家族とは縁きり状態だ。
そういう彼らのことを思うと、良太は複雑な気持ちになるのだ。
「バカか。やつらはそれなりに納得しているし、いないものはいないんだからしかたないだろう」
これだよ。
まあ、工藤自身家族がいないも同然だから、そういう割り切った言葉もでてくるのだろうが。
「まあ、そう、ですけど?」
それに平造にとっては真中も工藤も今や家族のようなものなのだろう。
いや、それこそ社員全員が家族だと思っているのかも知れない。
「俺んちなんか、みんな話聞いた時からはしゃいじゃって、親なんかハトバスツアーしたいとか、スカイツリー連れて行けとか、スタジオ案内しろとか、もううるさくて」
「そりゃ、親孝行も大変だな」
工藤がフン、と鼻で笑う。
「アスカさんとこは、さっき一緒に来てた洋画家のお祖父さんが楽しみにしてるとかで、小笠原も暇を持て余しているお母さんが張り切ってるらしいし、鈴木さんとこは、娘さんと息子さんお二人参加してくれるみたいで」
「そりゃ、いいじゃないか」
「ちょっと他人事みたいに言わないでくださいよ。あっと、当日バックレとかなしですからね、慰労会に社長が顔を出さないなんて、あり得ませんから」
良太は工藤の方をわざわざ向いてしっかと言うと、またくるりと前を向いた。
「ああ、わかったわかった」
工藤は念を押す良太にうるさそうに返事をする。
「小杉さんとこもご家族皆さん参加されるらしいし、万里子さんもお母さんと妹さん、井上さんとこは新潟のお兄さん忙しくて今回は不参加って言ってました。あと杉田さんご夫婦で上京されるって」
軽井沢でいつも世話になる家政婦杉田に良太が連絡を入れたら、二つ返事で行くと言ってくれた。
いずれにしても賑やかな会になりそうだ。
あとはやはり女性が多いから、エステやマッサージなど、希望を募って手配をしておかないと。
良太は頭の中であれやこれやと思いを巡らせる。
「お土産とか、何を用意したらいいかまだ決められなくて」
「そりゃ、杉田さんや鈴木さんに聞いたらいいだろう」
「そうですよね~」
何にせよ、せっかく来てもらうのに負担がないよう、行き帰りの足も確保するつもりだ。
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