でも兄弟姉妹とかとも連絡とってないのかなあ。
良太はしばし思いをめぐらした。
「しかしほんと、うちの社員て訳アリ過ぎ」
「いやあ、人間誰しも、いろいろあらあな」
小笠原がやけに達観したようなことを言う。
「悟りの境地になってんなよ」
「これがならずしていられるかって。はあ。生か死か、それが問題だ」
「こんなとこでハムレットするなよな」
言われなくても、とばかりに小笠原は今度は吟醸酒をオーダーした。
「あと、刺し盛りとおでん」
スタッフがオーダーを復唱して離れると、「まだ食うのかよ」と良太はげんなりと小笠原を見た。
良太もいい加減食べたが、小笠原はガタイが大きいだけ、良太に輪をかけて食べまくる。
「太ったら撮影に影響するぞ」
「明日会社のジム行くし」
「俺も最近、忙しすぎて、筋肉とか落ちてる気がする」
「んじゃ明日、一緒にやろうぜ、筋トレメニュー」
「そうだなあ」
会社のビルの四階はフィットネスジムになっていて、社員なら誰でも使えるようになっている。
管理は提携している会社が器具などの点検までやってくれている。
良太や小笠原、アスカはよく使っているが、たまに他の社員も顔をみせることがある。
工藤は高輪のマンションにあるジムをよく利用しているようだ。
良太も一、二度プールを使ったことがあるが、入居者とゲストなら誰でも使えるらしい。
「会社にも屋上にプール作ったらいいのになあ」
小笠原が大いなる要望を口にした。
「屋上じゃ、冬は使えないじゃん。ダメだろ」
良太はすげなく言った。
「ドームの屋根つけてさ」
「お前、そういうマンション見つければいいだろ」
「実家にはプールがある」
それを聞くと良太はムッとする。
「だったら実家に行けよ、贅沢モノ!」
こいつはどんなお坊ちゃんだよ。
「祖父さんが金持ちだったらしいけど、親のうちだからな」
一応自分で何とかしようという気はあるらしい。
しかし、家族ぐるみの慰労会だから、家族がいる社員はいいが、真中のように家族のいない者にとっては、逆につらいんじゃないだろうか。
今度はそんなことを考えて、良太は眉を顰めた。
「おいおい、今度は何を思い悩んでるんだよ」
「いや、だから、真中みたいに家族がいない場合、楽しそうな家族と一緒になって楽しめるかなとか」
口にした良太を小笠原が苦笑してみやる。
「ああ、もう、それ、考えすぎだから。真中とかは今彼女とラブラブなんだから、そんなこと思う余裕なんかないさ」
「まあな。考えても仕方ないから、ボッチでも楽しくなるような何かを用意しとかないとな」
「おい、ボッチとかいうな!」
「事実だろ」
小笠原はムッとした顔をしたが、「カラオケ!」と宣言して目を輝かせた。
「却下!」
即座に良太は返す。
「何で?」
「温泉旅館じゃないから、都内高級ホテルでカラオケとか無理。カラオケはお近くのカラオケバーへどうぞって言われるだけだろ」
「ふーん、ま、それでもいっか」
「最低二泊の予定で、一晩は親睦会でいいと思うけど、あとはやっぱリクエストもらってできる範囲で手配するとか? 観劇とか?」
「だから、それこそ、テレビ局ツアーだろうが。好きなタレントに逢う!」
小笠原の提案は確かにありかもしれない。
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