「ドキュメント、頑張ってるみたいだけど、頑張り過ぎないようにね」
「はい、ありがとうございます」
たまに宇都宮はこんな風に気遣いを見せてくれる。
「お二人って、仲いいんですね」
松下が良太と宇都宮を見ながら言った。
「そうだねえ、『田園』の頃からの付き合いだからね~」
のんびりした口調で宇都宮が答えた。
「そういえば、あの~、広瀬さんって、竹野さんと付き合ってるってほんとなんですか?」
良太にとってはいきなり、突拍子もない質問に戸惑った。
「まさか。宇都宮さんと同じで『田園』の時にちょっとお知り合いになっただけで。どこからそんな話出たんだろう?」
すると松下は、「『田園』にワキで出てた若い医者役が、事務所の同期で、そんなこと言ってたから」と言う。
なるほど、そんなところから変に湾曲して噂は広がるわけだ、と良太は頷いた。
「鍋仲間かな?」
良太が何か言うより先に、宇都宮が答えた。
「ああ、そうそう鍋仲間なんですよ」
良太は笑った。
「俺と良太ちゃん、それからひとみちゃんに竹野ちゃん、他、数名で、何回か鍋パやっててね」
「そうなんですよ。なんか、鍋ブームで」
良太も無難なところで宇都宮に同調した。
「ひとみさんって、山内ひとみさん? わあ、豪華メンバー」
松下が羨まし気に言った。
「俺はついでです」
良太が茶化して言うと、「でも、広瀬さんって、私らの間では有名人です」と杉本が口を挟む。
「俺が? 何それ?」
またしても考えてもみなかったことを言われて良太は首を傾げる。
「青山プロには広瀬さんてプロデューサーがいて、下手をすると、にこやかにクビ切られるから覚悟しろって」
今度は阿川が良太の思いもよらぬことを言う。
「はああああ? いったい全体、どこからそんな…………」
「俺が今度このドラマにちょっと出るっつったら、足立スタジオのやつらが」
良太ははあ、とため息を吐く。
「それ、からかわれたんですよ。牧さんら、ちょこちょこ出てもらってますから」
「でも、二村桃子、成敗してくださったの、広瀬さんですよね?」
ああ、と良太もそれを聞くと彼らが何を言いたいかわかったような気がした。
「あの子、あちこちでトラブル起こしてたから、トラブルってより友達、怪我させられたり、変な噂振りまかれたりして、ひどい目にあわされたのに、事務所の力が弱いから泣き寝入りみたいなことになってて」
「あいつ、お偉方に取り入るのだけはうまくて、事務所の社長も強引だしって、あいつのお陰で泣き寝入りしたやつ、結構いて。でも広瀬さんが成敗してくれたって話、牧から聞いてスカッとしたっていうか。あいつも二村から嫌がらせ受けてたって」
杉本の話に阿川が続けた。
「いや、成敗とかって時代劇じゃないんだから」
牧の知り合いなのかと良太は苦笑する。
人の悪口はどうかと思うが、二村は実際警察沙汰になってもおかしくないようなことをやってきたらしい。
「ど正論で二村を超クールにやり込めたっていうから、広瀬さんってどんなすごい人なんだろうって、思ってたんすよ。な」
阿川は松下と頷きあった。
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