よってたかって人を悪者にしやがって。
まあ、それだけみんなが良太を心配しているんだからよしとするか。
工藤は苦笑する。
「あら、最近よく会うわね」
だが、この声の主だけはできれば避けたかった。
「それで、良太ちゃんとは仲直りしたの?」
ひとみはカウンターに工藤と座っている紺野にちょっと挨拶して工藤の隣に陣取った。
「ああ? 良太ちゃんと喧嘩してたのか?」
耳聡い紺野が口を挟んでくる。
「早いとこ謝れよ? あんな健気ないい子を泣かせちゃいかんな」
酔っているのか、紺野は妙に意味深な言い回しで工藤を窘める。
「ほらみなさい、紺野さんもよくわかってらっしゃるわ」
何をだ。
「別に喧嘩をしていたわけじゃない」
工藤は不機嫌を絵にかいたような顔で言った。
「良太ちゃんの機嫌を損ねたのは事実でしょ。アスカちゃんも心配してたわよ。このままだと会社がどうかなっちゃうって」
「何だ、それは! ったくうるさいな。ああ、ちゃんと『仲直り』したから、いい加減にしとけ」
だが確かに、今朝方オフィスで鈴木さんと話している良太が笑っているのを思い出すと、案外アスカの言い分も的を得ているのかも知れない。
そういえば、GW初っ端の土曜は、同級生の結婚式だったな。
沢村と一緒に出席するのだと言って、良太がスーツをどれにしたらいいかわからないというので、工藤が選んでやったのだが。
「友人代表でスピーチなんか頼まれてるし」
「ブラックスーツが無難だろう。チーフを忘れるな。タイは明るめのゴールド系でいいだろう」
「カフスってどれがいいんだ?」
悩んでいる良太を見て、披露宴向きのを一式用意してやればよかったと工藤は思う。
「そうだな、俺の持っているやつをつけていけばいい。それにしても沢村、夜はゲームがあるのに、行けるのか?」
「昼の二時からだから間に合わせるって。あいつ、披露宴なんか初めてだとかって。でも沢村が顔出したらびっくりするよな、みんな」
「何で、沢村がお前の同級生の結婚式に出るんだ?」
ここで工藤は素朴な疑問が浮かんだ。
「ああ、俺ら、俺と肇はだから沢村とはリトルリーグからの付き合いで、高校ではかおりちゃんがうちの野球部のマネジャーだったから、地区大会とか練習試合とかで顔合わせてたし」
「ほう?」
かおりというのは良太の高校時代の元カノで、いつぞや酔っ払って、ヤケボックイに火が付くだの何だのと宣言していたことは記憶にある。
そのかおりが何にせよ結婚するということを聞いた時、工藤は心のどこかでほっとしたなんてことは、口にはできないが。
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