霞に月の30

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「異業種交流会、ですか?」
 翌日、出社してきた森村に、良太は昨夜千雪に提案された話をすると、森村は怪訝な顔で聞き返した。
「まあ、合コンとはちょっと違うけど、もっと広い意味でというか」
 良太としても今一つピンとこないのだが、千雪の言うには、年齢や職業、性別問わずのパーティだという。
「もちろん参加します! それ!」
 森村は気合を入れて宣言した。
「まだ、どういうメンツが集まるかわからないんだけど」
 千雪は藤堂に連絡を取って話を進めると言っていたが。
「決まったら、すぐに知らせてください!」
 森村は嬉しそうにデスクに戻っていく。
 まあ、モリーが喜ぶ結果になればいいけどな。
 さて、意外な人物から連絡をもらった藤堂は、内々の話だと言われ、接待などで使う料亭の個室を指定した。
「はあ? ここ?」
 御殿山の石塀と緑に囲まれたその料亭は、いかにもお偉方がコソコソ話をするために訪れていそうな佇まいだった。
玄関で小林と名乗ると、すぐに奥の座敷へと通された。
「お連れ様がお越しになりました」
 着物の女性スタッフがそう告げてから襖を開けると、「まあ、どうぞどうぞ」と中でスタンバっていた藤堂が千雪を促した。
「何も、こないなとこで。大学の帰りに寄るようなとこ違いますやろ」
 女性スタッフが去ると、千雪は訝し気な顔で藤堂を見た。
「内内の話っていうから、やっぱこういうとこじゃないとね」
 茶目っ気たっぷりに笑う藤堂は、どうやら面白がっているようだ。
 だが、料理は絶品の懐石料理が出てきて面白がるような代物ではない。
「ってか、ここ、昔から馴染みの店なんだよ。でも美味しいからとにかく食べよう」
 茶化す藤堂が酒をお猪口に注ぐと、千雪も野菜の煮物が綺麗に盛り付けられた先付に手を付ける。
 鶏肉の煮物碗、刺身、アワビの焼き物とどれも美味い以外に言葉がない。
「久々来たけど、いい味だよね」
 藤堂はあらかた食べ終えると満足そうに言った。
「ほんまに美味かった。ごちそうさまです」
「いやいや、ともあれ本題に入ろうか」
 ニコッと笑う藤堂に、「良太から、イベントなら藤堂さん、という話を聞いたので」と千雪は切り出した。
 それだけではなく、二度のスキー合宿やクリスマスやハロウィンでの藤堂を見ていて、お茶らけていそうで実は切れ者で人物的にも信頼できるという良太の藤堂評に千雪も納得していたからだ。
「イベントならお任せ下さい! って、何やりたいの?」
「異業種交流会という名のいわゆる合コンパーティです」
 それを聞くと藤堂は前のめりに千雪を見た。
「それはまた面白い企画だね」
「まあ、発端は、青山プロにいる森村くんのご要望、ってことなんですけど」
 千雪は森村が周りを羨ましがっていて、話にきく合コンに参加したがっていると良太から聞いていた話をした。

 


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