霞に月の31

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「ああ、彼、日系三世だっけ? 合コンって、日本特有なものがあるからね、興味をそそられたんだろう」
 森村についてのデータもしっかり藤堂の頭にはインプット済みのようだ。
「今の環境的にあんまりそういう機会がないらしうて」
「まあねえ、工藤さんを始め良太ちゃんもあんなに忙しくちゃ。それに良太ちゃんも合コンとか必要ないもんなあ」
 藤堂の科白は、良太のことはよくわかっているということを意味しているのだろう。
「ええ、それで、この際、年齢職業性別取っ払ったもんにしたい思て」
「なるほど」
 藤堂は頷いた。
「ただ合コンとかいうとそれだけで拒否る人もいるかもなので、異業種交流会いうんを掲げて」
「フーン、誰か参加させたい人物がいるわけか」
 確かに藤堂は察しがいい。
「はい」
 誰とは言わず、千雪は頷いた。
「スポンサーはこれから打診するんですけど、紫紀さんにお願いしようかと」
「ああ、京助さんに打診させるんだね? スポンサーが確かなら、いろいろ自由度も高くなるけど」
 千雪は苦笑した。
「ただ、紫紀さんバックにするってことは、参加者も誰でもOKってわけにはいかないよね」
「一応、うちの大学には声をかけようか思うてます。あんまり大人数でもなんやし、そこは考えて声かけんと」
「よくわかった。でもさ、せっかくこんな悪だくみにはもってこいのとこで話してるんだから、もうちょい、突っ込んだ話してもいいと思うけど? 今までの話なら、うちのオフィスでもOKだし」
 ふっと笑みを浮かべて藤堂が言った。
 それを聞くと千雪はやはり藤堂は侮れないと、ふう、と一つ息を吐いた。
「千雪くんがわざわざ俺に相談っていうのは、よほどのことでしょ? そろそろぶっちゃけてくれないと」
「モリーのことは表向きで、ほんまは良太のことで」
 すると藤堂は俄然瞳を輝かせた。
「何? また良太ちゃん、考え込んじゃってる?」
「はあ、まあ」
「工藤さんのことか」
 そう言われれば千雪も頷くしかない。
「ちょっと良太、煮詰まってるみたいで。だいたい、工藤さんも工藤さんやし」
「なるほど、それで沢村くんと佐々木さんのために急遽開催したハロウィンパーティを思い出したと」
 千雪は笑った。
「仕掛け人が藤堂さんやったから」
「いくらでも仕掛け人やるけどね。合コンやって、どうしたいわけ?」
 藤堂はちょっとマジな顔で聞いた。
「良太のご要望通り、工藤さんに知的で麗しいパートナーを見つけてもろて、良太にも何ならふさわしい誰かをカップリングしたったらええかと」
 千雪の説明に藤堂はしばし黙り込んだ。

 


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